「キャリア教育」は教育の現場で強化されていく。
しかし、社会にあるキャリア教育不足の問題が認識すらされていない危機感があります。
社内では「自己理解不足」「仕事理解不足」を要因とした問題が起きていても、その原因に向き合えてすらいないのが現状。
強いチームを作るには、「組織全体のキャリア教育」が基礎的な力として必要です。
今こそ、全社員が「キャリア」を学びましょう。
主体的な社会人であるため、持続可能な会社をつくるために。
【キャリア教育】人の持つ力を引き出す
組織の力は、人の力の集合の力です。
一人で出来ないことが出来るから、組織は強い。
これが足を引っ張り合うなら、組織は本来の力を発揮できません。
ただ「楽して生きていきたい」という安定の場所を求める人の集まりであっては、これから先の社会で持続することは難しい。
人の違いを知ること
まず必要なのが、「人は全員違う」という前提です。
キャリア教育では様々な理論があり、理論を学ぶごとにあなたの世界は広がっていきます。
「特定因子理論」と「六角形モデル」を知れば、人は親の在り方によって早期に興味領域が決定されることが分かる。
「興味の領域って、こんなに種類があったんだ!俺とあいつは違うんだな。」
また、「プランド・ハップンスタンス」を知ればチャンスを多く拾えるようになる。
「偶然だと思っていたことは、自分のアンテナが引き寄せていたものなんだ!」
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「キャリア・アンカー」を知れば、人がどんな働き方を望むのかを区別することができる。
「僕はこういう働き方が好きだけど、あなたはそういう働き方が幸せを感じるんだね。」
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「ライフ・キャリア・レインボー」や「ライフ・ステージ」を知ることで、置かれた状況を理解することに努められる。
「今あの社員のライフステージは配偶者でもある。そのライフスパンは長いはずだ。30歳の過渡期で働き方の修正が起こるかもしれないな。ええと、起こり得る転機は…」
わけが分からないこの言葉も、キャリアを学べば客観的に構造的に問題解決を図ることができます。
キャリア理論ではないが「エマジェネティックス」を学ぶことで、人の思考特性や行動特性の違いがどこに現れ、自分がどう思われているか理解することができる。
「他人がそんな考え方をしていたかなんて、知らなかったよ!」
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「人は違う」という前提があって初めて、「自分の当たり前」から抜け出せる。
つまり、「思い込み」や「漠然」で人を認識することがなくなります。
社長・上司の傾聴スキル
人の違いは、コミュニケーションによっても知ることができます。
「人たらし」の社長や上司は、とにかく聞き上手で話す人の個性を引き出す。
何も学ばずに自然と傾聴出来る人もいる。
ほとんどの上司は自分の中に“正解”を持ってしまいます。
「人は違う」という前提があり、傾聴のスキルを学ぶことが大切です。
「マイクロカウンセリング」には人の感情や意味を引き出す技法や、取るべき行動を明確にしてスッキリさせる技法がたくさんあります。
「開かれた質問をしたら、新しい感情が発現した。今の感情の反映をするため、“言い換え”をしよう。論理的帰結で導いたほうがよさそうだ。」
「ヘルピング」を学べば、「かかわり技法」「応答技法」「意識化技法」「手ほどき技法」と進むにつれ、短時間で部下の主体的な目標設定を促すことができる。
「まずはラポール形成だな。事柄・感情・意味へ応答して、次に意識化だ。」
「コーヒーカップモデル」では、上司自身の在り方や非言語の問題をつかむことも意識する。
「言語的リレーションをつくるために無構えだ。非言語の問題はどこにある?」
ポイント
「傾聴」は性格や人格ではありません。
「スキル」です。
さらに、カウンセリングの理論を学ぶことで“心理的要素”を含むさらに深い問題を把握することもできます。
「局所論」意識→前意識→無意識
「構造論」エス(イド)・超自我(スーパーエゴ)・自我(エゴ)
「自我の防衛機制」抑圧や反動形成など、12の自己防衛
「行動療法」オペラント条件付け・レスポデント条件付け
「イラショナル・ビリーフ」非論理的信念
「交流分析」エゴグラム(CP、NP、FC、AC、A)
社長・管理職・社員が自分を知ること
そして意外と難しく、とても大事なことが「自己理解」です。
上に立つ者ほど自己理解は重要度を増します。
例えば社長の自己理解は、会社の思いそのものでもあります。
自己理解を深めた分、他社理解も容易になり、組織を動かす力になります。
「個体発達分化の図式」を知れば、今の自分が向き合うべき社会的精神課題が分かる。
「そっか、この苦しみの原因はアイデンティティが確立されていないからなんだ。もっと自己理解を深めて自分に忠誠を持てるようになろう。」
「過渡期」を知れば、現在の問題の把握と将来起こる転機に備えることができる。
「真の自分と向き合う人生半ばの過渡期だったのか。ここでしっかり自分のキャリアプロセスを振り返らなければ。」
「転機(トランジション)」を学ぶことで、つらい状況を打破したり、何をしたらいいか分からなかったものが明確になる。
「役割と自分自身に対する見方の転機か。これは予期していなかった転機だ。影響度はそこそこ大きいようだ。4S点検をしたら戦略選びだな。今はニュートラルゾーン。苦しくて当然だ。モラトリアムをしっかり活用しよう。」
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「GATB」「VPI」「VRT」「OHBYカード」などの適正診断ツールを使い、理解を促すこともできる。
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キャリアカウンセリングは自己理解を促すことが主の目的でもあります。
キャリアコンサルタントが対面でカウンセリングを行うことが一番効果的。
カウンセリング理論やキャリア理論を活用するから、人の主体性が発揮されていくようになります。
管理職の「キャリアストップ」も、気づかずに進んでいく“怖い会社の病”です。
こういったことを防止するためにも、自己理解を促すカウンセリングが効果的です。
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【キャリア教育】思いを放つ・思いを伝える
企業理念
企業理念は大事と言いますが、それが形骸化しているかどうかは社長の思いの強さ次第です。
【企業理念】
社長が自分自身の思いを明確に持ち、それを社会に向けて放ち宣言すること。
言語化することが大事。
本当の思いにたどり着けたかどうかで、言葉の重みは全く違います。
社長自身が深く自己理解したところから放った言葉は、自然でパワフルに言語化される。
その思いに社員は集まってくる。
だから社長の思いである企業理念が本当の言葉でなかった場合、組織内がいつまでもまとまらなくなってしまう。
その思いの代弁者たる“管理職”がまた、自己理解を深めて思いに共感することもとても大切です。
主体性
思いに深いところで共感すれば、人は主体的に動き出す。
しかしこのためには、多くのプロセスが必要ですね。
例えば社員が自己理解していない場合もまた、“共感したつもり”になってしまいます。
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- 社長の自己理解
- 管理職の自己理解
- 社員の自己理解
- そのためのキャリア教育
- 人の違いを知ること
- 上司の傾聴スキル
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人の個性が色とりどりに表れ、一人ひとりが光る会社。
理想論と言われてきたことが求められるからこそ、学校教育でもキャリア教育が強化されています。
ポイント
これからの社会では、理想論ではなくなります。
中小企業にとっては生き残りのための方法でもある。
僕は人事部長として会社の問題と向き合ってきたからこそ、なんとかしなければと本気で思っています。
社員一人一人が、動力を持った歯車になりましょう。
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【キャリア教育】+【経験・体験】組織の構造・仕組み化
また僕は元人事部長としての経験があるので、組織内の仕事の進め方や仕組み化・環境整備も同時に取り組むべきだと思っています。
キャリア教育は利益に結び付けることができる。
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人の力を活かすためには、「会社の環境」も必要になってしまいます。
正しい心を持った社員に、正しい武器を与える。
この環境整備を僕は、会社の『環境実力』だと思っています。
これは主に社長の仕事であり、その実践には社員全員の協力が必要です。
- 知恵を生む情報の回し方(武器)
- コミュニケーション(動機付け要因)
- 評価(衛星要因)
いかがでしょうか?
「キャリア」と「社会問題」を結びつけると、こんなにも多くの課題がある。
しかし、これは「可能性」であり「伸びしろ」です。
会社にできることはたくさんある。
そうである限り、会社はどこまでも伸びていく。
どこまで伸ばすかは社長次第で、社長の思いをもとにあるべき姿に会社を導く。
そうして社長も社員も自分の色で輝ける会社を一社でも増やしたい。