「NO!」と言える社会人が少ないとよく言われるが、「ダメ!」「やめなさい!」と言える上司がいないのも大問題です。
なぜ、リーダーシップは必要なのか?
なぜ、社員全員が良いことを目指していても組織は崩壊してしまうのか?
組織人としての自覚とは!?
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【会社の大問題】組織体の崩壊
会社は存続自体がエラく難しい
会社というものの性質は本当に難しいもので、それは会社の存続率が物語っています。
会社の存続率
1年後…60%
3年後…40%
5年後…15%
10年後…5%
30年後…2%
50年後は…0.7%
100年後は…0.03%
あなたがもし設立30年以上の会社に所属していたら、それは社会にたった%しか存在しない会社ということです。
それでも、その後20年続く確率は半分以下。
そしてその多くが、内部体制のゴタゴタによって外部環境の変化について行けなくなる。
たとえば社内の雰囲気がとても良く、全社員が仲良く過ごしている会社があったとする。
でもそのせいで他社との競争力まで失ってしまったら、資本主義・競争化社会では生き残っていけません。
かといって社員を馬車馬のように働かせて競争ばかりさせていたら、疲弊してライバル会社に転職してしまう。
人という資源を失ってしまうんですね。
永続する会社をつくるための内部体制は、それほど難しい。
さらに、社員全員が良いことをしようとしても、みんながバラバラだと組織は崩壊する。
どこかで誰かが我慢していたとしても、動いてくれないと困るのが組織です。
「嫌だからやらない!」が許されにくい場所なんですね。
一貫性の欠如が組織を崩壊させる
会社には理念やビジョン・事業の想いなど、戦略的な方向性が必要です。
その会社の存在意義ともいえるもので、社員全員の迷った時の拠り所になります。
少しでもこれがないと、30年成長し続けることはないでしょう。
一貫性の欠如が組織を崩壊させる。
一貫性がない会社では・・・
各部門が好き勝手やって問題を起こしているのに誰も制裁を加えられなかったり。
役職の不正が横行していたり。
生産性のないポストに人件費が多くかかっていたり。
根回しや策略で昇進できてしまったり。
よく『腐敗』と言われるようなことが起こってしまいます。
腐敗をさせないためには、ずっと同じ人を同じ場所に置かないために人の入れ替えも必要。
それを可能とする一貫性が必要です。
でも、たとえば組織風土のために人の入れ替えをコロコロ行うとします。
社員はイヤですよね?
でも、そういうイヤがられる決断を誰かがしないと、組織はもっと悪い方向に落ちていく。
感情論だけではやはり一貫性を失い、会社を潰してしまうということです。
なぜ、リーダーが必要なのか
組織には方向を示す人が必要です。
その通りに動く社員が必要です。
特に労働組合のない中小企業であれば、会社というものは社員のものではなく社長のものだと思わないといけない。
そしてその人が責任を取ってくれるから、間違っているかもと思っていても行動が出来る。
会社を潰しても経済的責任を負えない社員が、最終的な決断なんてしていいはずがないんです。
特に今後の時代、わざわざ会社にお世話にならなくても独立しやすい時代。
文句を言って会社をかき回すより、独立してしまった方がよほど幸せに生きていけます。
会社はひとりの人間のようなものです。
脳が指示して、その通りに手足が動かないと病気だということ。
どこかにガンが見つかったら、ガンの思い通りにさせてはいけない。
脳が全てを決め、時に体が示す拒絶反応や反射を感じ、また脳が決断する。
情報を統合し指示をする脳がなければ、戦略的な活動は出来ない。
リーダー不在の組織は、行き当たりばったりでその場しのぎの活動しか出来なくなってしまうんです。
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『ダメ!』と言えるリーダーシップ
『NO!』と言うべきなのは部下だけじゃない
よく社会で言われるのは、「NO!」と言える大人になりなさいということ。
これは部下から上司など、目上の人に対してという意味で使われますよね。
でも僕はそれだけでは組織が混乱するだけだと思っています。
結局最後は、責任を取れる人が情報を統合して決断を下すしかない。
すべてを部下の言うとおりにさせ、なんの戦略的決断もないまま好き勝手やらせたら。
しかもその責任を全部部下に負わせたら。
それはもう、部下は個人事業主でやればいい話で、会社である意味はありません。
「ダメ!」「やめなさい!」と言える上司の存在が必要。
これはトップダウンですが、同時にリーダーシップです。
あとになってその決断が「正しい・間違い」と言われます。
たとえ間違いだとしても、会社は全員で間違えるのが在るべき姿。
一番よくないのは、曖昧な決定・先送り・方針の欠落によって社員がバラバラに動くこと。
迷惑をこうむるのはお客様・消費者であり、社会的信用を失い、やがて組織は崩壊していきます。
内部のゴタゴタなんてものは、外部の方には関係のないことなんです。
「犬も食わない」というやつですね。
リストラは会社に必要?
リストラについては、非常に難しい問題です。
僕たちのように”終身雇用”を前提として教育された人達にとっては、たまったもんじゃないですよね。
でもリストラなく年功序列の組織は、ある意味帝国主義に似ています。
侵略し続けないと、肥大化した組織を維持できなくなってしまう状態です。
維持するために拡大を続け、やがてまとまりがなくなって消滅してしまう。
そう、これが日本社会が抱える大問題でもあります。
人口減の時代、終身雇用・年功序列の仕組みは限界。
人を増やしたり減らしたり、フレキシブルな雇用や個人との契約の仕方が求められている。
リストラが当たり前になる社会にしないといけないんです。
そのため、私たちは会社という組織に頼らなくても生きていく力を身に付ける必要がある。
だから僕のようなキャリアコンサルタントが国家資格化され、キャリア支援を拡大したり、キャリア教育が強化されたりしているんですね。
個人にとってリストラは安心を脅かすものですが、会社にとっては必要なものとなってくるでしょう。
もっとも「リストラ」の首を切るという意味は日本独自のもので、本来は「再構築」です。
その本来の意味、つまり再構築・変化可能な会社を前提としなければいけないということです。
"ポスト"を失えるだけの力を
会社にある“ポスト”は非常に魅力的です。
社会的に自分が認められた証でもあるし、一定のポストに就けば生活が楽になる。
ポストに就けばもう落ちることがない状況であれば、それ自体が保障となってしまう。
でも終身雇用はもう終わり、全員が昇進し続けられる・会社が拡大し続ける時代は終わりました。
これからの時代、『ポストは必ず失うもの』だと思っておきましょう。
ポストだけを目指すことは早くやめないといけません。
そこに安全は無いからです。
かえって安心を得てしまうことが危険なんです。
だから必要なのは、他社に行ったり独立したりしても十分やっていける力。
汎用的な能力であり、本質的な力です。
ポストを失っても大丈夫なだけの力を身に付けよう。
「ポスト」は会社の力であり、自分の力ではありません。
それを意識して成長を続けていきましょう。