親は子供にどう教える?②

キャリアとは何か

親は子供にどう教える?②【キャリア教育】大人が知るべき“人”の道

2020年1月8日

社会ではすでに『キャリア教育不足』による問題が多く起こっている。

前回は変わっていく社会の背景について書きました。

親は子供にどう教える?キャリア教育
親は子供にどう教える?①【キャリア教育】親が学べない超重要課題

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そこで起きる問題とは?

2020年、小学校から変わるキャリア教育。

学校で予想できるギャップ、大人が知らなければいけない人の道とは?

学校内で予測できるギャップ

すぐに変わることはできない現実

2020年から学習指導要領が変ります。

特に、“学び方”自体を改革しようとしている点に注目です。

『アクティブ・ラーニング』2020年!大人も子供も準備しないと?

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「キャリア・パスポート」が導入されたり、

私たちキャリアコンサルタントにとっては「素晴らしいな」と思うことばかり。

 

しかし、文部科学省では同時に以下のような問題があるとしています。

  • 従来の教育活動のままでよいと誤解してしまう。
  • 「職場体験活動」の実施をもってキャリア教育を行ったものとみなしてしまう。
  • 教員一人ひとりの受け止め方、実践の内容・水準にばらつきがある。

それもそのはずです。

教師は私たちキャリアコンサルタントのように「キャリア」を学んでいるわけではない。

教育の現場は、現実に社会で起きているキャリアの問題を見ることができない。

 

そして、教育の現場は忙しすぎます。

担任が全ての教科を考え授業し、朝早くから夜遅くまで。

時間も限界なのに教師不足。

そこにアクティブラーニングをするように言われても・・・。

やり方を抜本的に変えないと厳しいですよね。

 

にも関わらず、「先生なんだからしっかりやってよ!」なんて言えません。

本当に根本が変わっていくのは、まだ十年以上先の話でしょう。

その間は、社会に出ている大人自身が学ぶ必要があるし、学校と連携して子供の教育ができるようになったほうがいいですね。

 

注意ポイント

「キャリア」という言葉はまだ日本で共通言語になっていない。

大人がキャリアについて学ぶことがとても大事。

 

先生には社会の問題を体感できない

学校には学校の、子供たちには子供たちの、社会には社会の問題があります。

おそらく一番多く子供たちが進むであろう「会社員」の現実問題は、学校とは遠いところにある。

一番教えたいものほど遠くにあるという事実。

親がどのように教えるかは、とても大事なポイントです。

 

さらに、社会の問題は時に“伝えたくない大人の世界”です。

例えばセクハラ。

夢を描いた社会にセクハラが横行している。

こんな情けないこと、小学生に伝えるのは難しいですよね。

小学生には伝えられないとしても、高校ぐらいではリアルな社会の問題に備えさせてあげたい。

成人年齢が18歳になるのもうなずけます。

子供は、もっと早く大人にならないといけない時代です。

 

「キャリア」が共通言語になっていない

「共通言語になっていない」

キャリアという言葉の定義が、日本の中で定まっていないということです。

当然、「キャリア教育」も人それぞれの解釈をしてしまいます。

 

先生によって教え方に差が出ることもあり得る。

学校によっても変わってくるでしょう。

 

現在、文部科学省が指しているのは、

「働くこととのかかわりを通しての個人の体験のつながりとしての生き様」です。

よく分からないですね。

「キャリア」という言葉が、日本人の中で感覚的に捉えられるようにならないといけない。

このギャップが埋まるまでには、数年から十年以上かかると思います。

 

だけど学校ならまだ指導要領があるからまだいいのかもしれません。

家庭だとどうですか?

先生が教えたとおりのことを、親も教えられますか?

自分の中の「キャリア」が正解だとなぜ言えますか?

新しい学習指導要領のコンセプト「生きる力」、

人生の道である「キャリア」を、説明できますか?

 

親が知るべきことは何か?

「キャリア」の認識

僕は「キャリア」を学ぶ前、キャリアは仕事の経歴のことだと思っていました。

転職の勉強をするのか?程度の認識です。

だけど、この学問はとんでもなく広く、超重要で、キャリアとは人生の道そのものなんだと理解しました。

 

「キャリア」という言葉の語源はラテン語の「車道」です。

「個人の体験としての生き様」を言い、会社での役割だけを指すものではありません。

キャリアは人生の道であり、未来にも続いていくものです。

キャリア形成を考える時、過去だけではなく未来のキャリアも考える。

過去のキャリアを紐解く理論、未来のキャリアを導く理論もある。

理論とは、数学で言う『公式』に近いものです。

 

まず、『キャリア』とはとても広義なものであること。

人生の道そのものであるという認識を共有したい。

 

キャリアには理論がある

例えば、キャリア上「自分の役割」は変わっていく。

様々な役割のことをキャリア理論では「ライフ・キャリア・レインボー」と言い、9つ存在する。

ライフ・キャリア・レインボー

子供、学生、余暇人、市民、労働者、配偶者、家庭人、親、年金生活者

(同義語に「ライフロール」「ライフ・スペース」がある)

※その長さはライフ・スパンと言われる。

これが分かっていれば、

「ああ、今は【市民】と【労働者】だ。」

「いずれは【配偶者】にもなり、その次に【親】、【年金生活者】になるのか。」

と“キャリアプラン”が立てられるようになる。

キャリアプランを考えられる利点は、計画通り進められることではありません。

変更を余儀なくされたときに、建設的でいられることです。

計画は変わるもの。立てたものは違う形でも立てられるもの。

選択肢があることを知ることが大事です。

 

それから、例えば自己理解

自分は仕事をするうえで何を大事にしているのか?

キャリアアンカー

  • 専門・職能別能力
  • 全般的経営管理能力
  • 自律・独立
  • 保障・安定
  • 起業家的創造性
  • 奉仕・社会貢献
  • 純粋な挑戦
  • 生活様式(ワークライフバランス)

を知っていれば、自分の可能性に気付くことができる。

方向性に自信を持つことができる。

会社側にも、自分の特性を伝えることができる。

 

こうして未来に備えることができる。

知らないから、選択肢がなくなるから絶望するんです。

 

ポイント

キャリア理論を学ぶことで、たくましく柔軟に社会を生きていくことができる。

これが学習指導要領で言う『生きる力』だと思います。

 

子供に就いてほしい職業ランキングから

「子供に就いてほしい職業ランキング」というものを見ました。

(小学1年生、男の子の親)

1位 自分の子供がなりたい職業

2位 公務員

3位 医師

ここで違和感を感じたんです。

 

まず「自分の子供がなりたい職業」という答えに感じた違和感。

確かに、一番輝く思うような道を歩んでほしいのはその通りなんですけどね。

例えば小学1年生が「宇宙飛行士になりたい」と言った時に、何をしてあげられるか。

本当に宇宙飛行士になるための勉強をその時点で始める家庭はごくわずかですよね。

だとしたら、子供が現実的な「仕事」をイメージできてからの話になる。

それまでに家庭では何をしてあげられるのか?

気が付いたら「なりたいものになれない時期が来る」のを待つばかりではないのか。

子供が「なりたい」と思うものは、“知っているもの”です。

知らないものにはなりたいと思えない。

大事なのは“何になれる可能性があるのか”を示してあげることだと思います。

 

だけど「なりたい職業になればいい」と思っていると、情報を与えずに過ごしてしまうのではないか?

という違和感。

スポーツ選手の子供はスポーツ選手が多い。

経営者の子供は経営者が多い。

それは、「就かせたい職業」が明確だったからではないでしょうか?

魅力のある職業を“よく知っている”からではないでしょうか?

子供の職業にもっと関心を持ち、可能性を提示することができるのではないか?

親は子供に、自分以上に豊かな生活を送ってほしい。幸せになってほしい。

それはきっと可能です。

キャリアを学べば、自分が知っている以上の仕事理解を促すことができます。

 

それから、「公務員」に感じた違和感。

膨大な職種がある公務員。

超ホワイトもあれば、超ブラックもある。

きっと、どれでもいいなんて思っていないはず

求めているのは、「安定」というイメージではないか。

「(よく分からないけど)「公務員」なら(きっと)安泰だ(ろう)。」

そう言われて信じた子供が、超ブラックの公務員になっていいのか

 

ここに感じるのは「漠然」です。

知っているなら、公務員の中の職種を答えるはずなのに。

 

注意ポイント

ここに強く違和感を感じる理由があります。

「キャリア教育」の目的は「生きる力」を育むことです。

生きる力を弱めてはいけないんです。

 

僕にも小学校5年生の子供がいます。

親はどうしても、安定した環境に身を置いてほしいと願うものです。

しかし、それが「生きる力」を弱めるものであってはいけない。

安全な場所を示すより、危険に対処する方法を教えるのがキャリア教育ではないでしょうか?

 

キャリアパーパス・キャリアプロセス・キャリアストップ

キャリアを学ぶことは、生きる力をつけることです。

子供に教えるために、今の社会問題を少しでも軽減するために、まずは大人が学ぶべき。

僕は、キャリアを学び、より実践的にするために以下のような確認もすすめています。

 

『キャリアパーパス』

目的です。キャリアを向かって進めていきたいのか。

 

『キャリアプロセス』

今まで歩んできたキャリアの道です。

プロセスの中に、自己理解の答えがある。

その自己理解が、未来を照らしてくれる。

 

『キャリアストップ』

成長が止まることです。

組織内でキャリアストップを起こすことで、数多くの問題の原因になる。

 

こうして自分を客観視することで、より自分は明確になっていきます。

自分らしくあれるようになり、社会で活躍しやすくなります。

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キャリア形成を細分化して運用する

学んだものは実践するためにある。

例えば、キャリアコンサルティングでは基本的に以下のような流れで支援をします。

  • カウンセリング
  • 問題の把握
  • 自己理解の支援
  • 仕事理解の支援
  • 自己啓発の支援
  • 意思決定の支援
  • 目標の設定
  • 方策の実行
  • フォローアップ
  • 結果の評価

キャリア形成をするには、問題が何なのか、自分はどうなのか、仕事はどうなのかなど、知らなければいけないことがたくさんあります。

 

細分化するには、理論を知ればいい。

子供に「キャリア」を教えるとき。

子供を導いてあげたいとき。

自己理解を支援できる親。

仕事理解を支援できる親。

目標設定、フォローアップできる親。

自分で考えさせてあげられる親。

なんて、最高ですよね。

 

理論は、答えではありません。

答えは子供本人の中にある。

それを導き出したり形成したりしてあげることができる。

これが本当の「なりたい職業に就かせてあげる」ということなんじゃないでしょうか?

 

最高に素敵な親だと思いますし、

僕自身、そんな親でありたいと思っています。

 

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宮内 利亮

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