今回は障がい者雇用について。
僕は『障害者職業生活相談員』の講習を受けて、「精神・発達障害者しごとサポーター」として障がい者の方と一緒に仕事をしていました。
中小企業の障がい者雇用にはまだまだ問題があります。
・障がい者への誤解
・企業の受け入れ態勢
など
この記事では、「統合失調症」の方と仕事をした実際の事例を紹介します。
少しでも今後の障碍者雇用のお役に立てればと思います!
発達障害の方の事例はこちら
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【障がい者・発達障害】雇用・採用の実態と就職フェスタのすすめ
続きを見る
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【障がい者雇用・統合失調症】雇用の経緯
障がい者支援センター
発達障害の方の場合もそうでしたが、こちらも障がい者支援センターでご縁を頂きました。
「統合失調症で、パソコンが得意な方がいる。」
ということで、当時システムの合理化を図っていた部署に人手が欲しかったため面談をお願いしました。
前職も経験していたが、障がい者としての就職活動は今回が初めてとのこと。
前回は健常者として働いていたんですね。
後でも触れますが、障がい者雇用に限らず“雇用のための雇用”はよくないと思います。
やるべきことがあって初めて、そこにやりがいや評価が生まれるからです。
障がい者雇用をする目的が、「雇用しないといけないから」という会社は要注意です。
そして、「健常者として扱われたい」と思わせてしまうのは企業の受け入れ態勢にまだまだ課題があるからだと思う。
この問題については最後に触れていきます。
面談
発達障害や知的障害の方の場合は親とも面談するんですが、今回はその必要はありませんでした。
とても物腰の穏やかな男性で、コミュニケーションは全く問題がない。
肝心のパソコンの知識は・・・すごい!
症状も詳しく聞き、どんなことに気を付けるべきかも聞きました。
会社の紹介や仕事の説明をして、お互いOKということで採用が決まりました。
症状については幻聴がメインでした。
自分の中で常に誰かが話しかけてくるので、気が散りやすい。
たいがいはマイナスな内容なので、気分が落ちやすい。
幻聴が酷くなることもある。
といったところです。
ポイント
前職がある場合は、その時に起きた問題をしっかり聞いておくことが大事。
お互いどうすればその問題が起きなくて済むかを事前に一緒に考えることです。
今回は、「それならこの仕事では問題にならないね」ということで落ち着きました。
残念ながら退職してしまいますが、それは全く別の会社側の問題でした。
【障がい者雇用・統合失調症】仕事と症状
仕事内容
仕事内容はかなり根気のいる仕事。
システムを一から作ったり膨大なチェックしたりと、小さく大量のタスクをひとつずつ潰していくような作業です。
「疲れないの?」と聞くと、「全然大丈夫ですよ。」といつも言ってくれていました。
このあたりは適性のある仕事だったんじゃないかと思います。
僕がやったらミスばかりするような仕事です。
本来は症状が酷くならないよう、「あまり仕事の幅を広げず詰め込まないようにしよう。」とお互い決めていました。
しかし、仕事の整理整頓がしっかりできていることと、本人もまだ抱えられるということで、最終的には結構な量になっていました。
適正な仕事や仕事の量を決めるのは、少し時間をかけて本人の話も聞きながら調整したほうがいいと思いました。
得意なことであれば無理せずできることもあります。
ポイント
今回の場合、仕事の適性は症状によって決まるものではない。
あくまで本人の性格が細かいことをこなすことに向いていた。
無理に「この症状はこの仕事」と決めつけないことが大事です。
症状と影響
症状の方は、本人からすると「常に幻聴が聞こえている」状態です。
しかし、周りから見たら分からない。
周囲に嫌な思いをさせるとか、大きな失敗をするなどは一切ありませんでした。
本人がマイナス面は自分の中で抑え込んでくれています。
逆に愚痴を言う人をなだめたり、プラスな考え方を提示してくれたりするムードメーカーでした。
コミュニケーションに難があるのかと思ったのですが、それが全然ない。
仕事を抱えすぎると症状が悪化すると言っていたが、その様子もない。
かなり順調であったと言えます。
ポイント
今回の場合は周囲への影響はない。
しかし、それだけに本人への気遣いを軽視してしまう恐れがある。
定期的な面談は絶対に必要だと思います。
無理をしていないか確認と、プラスな面にしっかり感謝していることを伝えないといけません。
障がい者に限ったことではないですが。
【障がい者雇用・統合失調症】退職の原因
退職理由
何も問題がなかったように思いますが、本人にとって大事なことがまだ会社で整備されていませんでした。
退職理由
このままでは将来の生活が不安。
つまり、給料が増えないことが原因です。
仕事は持っているスキルでポジションを確立し、貢献度も高く見えました。
しかし僕がいた会社では、“評価制度”に則って全社員の給与が決まります。
入社の時に「評価は症状を悪化させる可能性がある」と言うことで、その評価制度の枠に入っていなかったんです。
障がい者雇用では多くの場合、通常と異なる業務をする。
しかも今回の場合新しい部門。
評価の基準がなく、給料が上がりづらい状況でした。
退職の原因
原因となったのは本人の症状や周囲への影響などではなく、会社側の受け入れ態勢が出来ていなかったことでした。
症状を悪化させる可能性があるからといって責任を与えず給料が増えない。
それでも実際問題、生活して結婚したり子供を育てたりしなければいけません。
だったら、それが可能な会社に行こうと思うのが当然ですよね。
退職の原因
障がい者雇用の評価基準がなかった。
【障がい者雇用・統合失調症】企業がやるべきこと
評価と報酬
企業としては、以下のようなことを整備していかないと今後多様化していく社会についていけません。
- 障がい者の評価基準
- 生涯設計が可能なだけの報酬
- 症状×個性で仕事と量を調整
- 全社員の症状に対する理解
障がい者だけにとどまらず、時間制限のある主婦や外国人、シニア層などの制度もあったほうがいい。
この人材争奪戦の社会で大きくリードできるはずです。
責任ではなく難易度の高い仕事に給与を
特に精神的な疾患を抱えている人の場合、なるべくプレッシャーのかからない状況がいいですよね。
だからといって簡単な仕事や単純作業ばかり押し付けるのは違います。
古い体質の会社では、責任が増えないと給料が増えません。
しかしもう、このような時代ではなくなってきています。
奉仕作業をしているわけではありませんから、障がい者雇用だから給料が安いという固定観念にとらわれている会社は厳しいです。
ポイント
適性のある難しい仕事はどんどん任せる。
企業はその特性を見抜き、仕事を割り当てる技術を磨く。
難易度の高い仕事には報酬をしっかり設定すること。
障がい者が企業を見定めるポイント
障がい者側は、企業をしっかり見定めることが大事です。
こちらのイベントでは、事前に多くの会社と接点が持てるのでおススメです。
最後に、企業のどんなところをチェックするべきかまとめておきましょう。
- 将来自分にとって発展性はあるのか
- やったことが正しく評価されるか
- 社員の障がい者理解はどのぐらい進んでいるか
- 一人ひとりに合わせる仕事の柔軟性があるか
質問例
「障害者で一番高い年収はどのぐらいですか?」
「評価制度はありますか?」
「健常者とはいつも一緒に仕事しているのですか?」
「障害者の仕事は一律ですか?」
聞ける範囲で聞くのと、チャンスがあれば実際見に行ったほうがいいですよ!
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