新学習指導要領の『生きる力』は、社会の問題を解決するための学び。
元人事部長として僕が会社の中で見てきた問題の中に、思い当たる節がいくつもありました。
子供だけでなく大人も学ばないといけないキャリア教育。
一体何が問題なんでしょうか?
『生きる力』と、社会の問題
2020年から小学校で。
2021年から中学校で。
2022年から高等学校で。
それぞれ新しい学習指導要領が適用されます。
そのテーマが、『生きる力』です。
文部科学省の資料
この新しい学習で育む3つの力があります。
- 知識及び技能
- 思考力、判断力、表現力など
- 学びに向かう力、人間性など
この3つ、人事部長として人の問題を見続けてきた僕にとっては、とても共感する部分が多いんです。
この力が学校生活の中で育まれたら、未来は明るい!
まさに現代の問題となっている部分だ。
今回は、なぜそう思うのかを、僕の体験を踏まえてお伝えしようと思います!
知識及び技能
実際の社会や生活で生きて働く
『知識及び技能』
まずはこちらの力。
裏返して考えれば、「実際は使えない知識や技能」を習得している。
と考えられないでしょうか?
実際に僕が社会に出て感じたのは、「今までの勉強のほとんどを使っていない」ということ。
新入社員が入社したら、まず行うのが「ビジネスマナー研修」ですよね?
これ、なんで学校で教わらないのか?
と、今となっては思います。
なぜか社会に出ると、ほとんどの知識がリセットされる。
なぜか大学を出てから専門的な学校に行ったりする。
「教育と社会が分離されている」
僕は2つの課題があると感じました。
①専門的な知識や技能を、専門的な分野で活かせていない。
②就職するための勉強になってしまっている。
①専門的な知識や技能を、専門的な分野で活かせていない。
これは就職活動にも問題があるし、自分の進む進路を決定出来ていないことにも問題がある。
学問自体はあるんです。
しかしそれを、どうやって選んで、どうやって活用するかが繋がっていない。
進路を選ばないまま専門的なことを学んでいる。
だから、学んだことと違う職業選択をする人が増え、知識がリセットされてしまうんじゃないか。
②就職するための勉強になってしまっている。
大学はそもそも、専門的に学びを深めるためにあります。
しかし、日本の終身雇用の社会がこれを歪めた気がします。
就職するために大学に行かなければいけない。
就職するための大学が増える。
大学はいつしか、専門的に学ぶ目的ではなく、就職する目的で行くようになった。
この手前には、やはり進路選択が困難である問題があると思います。
根っこにあるのは自己理解不足。
そして自己理解しなくても、進路選択しなくても、会社に就職さえすればなんとかなってしまった今までが、本来あるべき形を歪めてしまったんじゃないでしょうか?
思考力、判断力、表現力など
未知の状況にも対応できる
『思考力、判断力、表現力など』
社会の変化はとんでもないスピードになってきました。
なってきたと思っていました。
しかし、本当にそうでしょうか?
僕はこう思います。
本当はずっと世の中は、世界は、変わり続けていたんじゃないか?
変わらなくていい社会を、一生懸命作ってきてしまったんじゃないか?
仕事を効率化しようとすると、仕組み化したいんですよね。
組織でやろうとすると尚更、誰でも出来るようにしたい。
- 考えなくても出来るように
- 判断しなくてもすむように
- みんなが一律に
これ、よく考えるとゾッとしませんか?
思考を奪われ、判断を奪われ、表現を奪われる。そう取ることもできてしまう。
考えてみれば、学校教育の段階からそうでした。
「これが、正解です。」
「言うことを聞いていい子にしましょう。」
「お手本にして頑張りましょう!」
だけど社会に出ると、意外にこれが使えない。
正解はないし、言うこと聞くだけじゃダメだし、自分の強みを見つけないといけない。
ここでも学生時代と社会の分断を感じます。
だからこそ、それを打破するためにアクティブラーニングも取り入れられました。
決して若い人の能力が劣っているわけがない。
むしろ歯止めをかけているのは、古い教育を受けている僕たちの世代のほう。
思考力、判断力、表現力が大切だと思うのに、その力を弱める教育をしていないか?
能力の問題ではなく、教え方の問題ではないでしょうか。
学びに向かう力、人間性など
学んだことを人生や社会に生かそうとする
『学びに向かう力、人間性など』
まず、『学びに向かう力』の必要性についてです。
無気力や無関心がよく社会では問題とされます。
確かに、僕もこれには苦労しました。
「仕事に興味を持て」と言われても、無理なものは無理。
生活はできるんだから、そんなに興味とか主体性とか言わなくても・・・
と思ってしまいます。
でもやっぱり、自分がしている仕事の分野に対して学ばない人は成果が出ないし、それなりで終わってしまう。
仕事というものは、同じことを繰り返すことではないからです。
ほとんどの仕事は常に発展を考えて、世の中のニーズに合わせて新しい価値を生み続ける必要がある。
学び続けない人は、いずれ社会から置いていかれる。
学ぶことを拒否することは、社会での後退を意味する。
だから、学ぶに向かう力は「生きる力」を付けるうえでとても大切です。
- 「もっと学びたい」
- 「学ぶことには価値がある」
- 「学ぶときっと良いことがある」
土台に、そんな価値観が必要ではないでしょうか。
そして、『人間性』です。
これからの時代、最も大切な幸せの条件だと思います。
嘘をつく人からは買いたくない。
本音で語る人から買いたい。
悪口言う人と一緒にいると気分が悪くなる。
いつも人のプラスの面を見る人と一緒にいたい。
悪いことする人は自分に危害を加えそう。
悪いことしない人なら自分に害はなさそう。
ごく当たり前のことが、より当たり前になってきていると感じます。
今の時代、悪いことをするとどこかでバレるようになってきました。
情報化社会により、一人一人の目と口が、全世界の人と繋がることができる
情報操作にも限界がある。
偽物のお人善しはすぐにバレてしまう。
会社も同じで、本質的にいい会社でないと人が集まらなくなってきました。
人間性のない人のもとにいなければいけない時代ではありません。
人間性のない人が淘汰される時代です。
新学習指導要領は、正しい方向に進んでいる。
社会で様々な問題を見てきた僕はそう思います。
あとは実現するために、大人も子供も新しい時代に向けて舵を取ること。
変化を恐れずにいれば、きっと未来は明るいですね。