誰もしたくはない【更迭】についての記事です。
僕が実際に見た更迭。
それは単なる懲戒処分や能力不足だけではない。
現実には、もっと色んな理由の更迭がある。
ここでは3つの事例を紹介します。
実際にあったことなのであまり具体的に書くことができませんが、
- 自分がそうならないように。
- または同じ状況になった時に正しい判断ができるように。
考えながら読んでいただければと思います。
会社それぞれの『更迭』
ここで挙げる更迭は“僕が見てきた”ものです。
もちろん、更迭基準は僕がいた会社のもの。
すべての会社に当てはまるものではありません。
あなたの会社にはあなたの会社の更迭があります。
しかし、僕がいろんな会社を見ていて思うことは、
【更迭】の基準があいまいな会社が多い
ということ。
一見、優しい会社に見えます。
しかしその背景では、
更迭させないがために解決しない問題や、諦めて去ってしまう部下がいることがある。
更迭の基準がはっきりしている会社ほど、いい環境・いい業績が持続する。
そのような会社は更迭が当たり前に起こるが、
それが本人にとって絶望的な問題にはならない。
と、僕はそう思います。
残念ながら僕がいた会社では、まだ“更迭が当たり前”とまではいかなかった。
そういった会社は更迭を機に転職する人も多いです。
ただ、更迭が当たり前になる風土を目指していました。
そうでないと“安心して居座る管理職”が出る。
『キャリアストップした管理職』を生むことになってしまうからです。
【更迭】した人を受け容れないような風土は好ましくないですね。
「更迭が当たり前」な会社の方が優しい会社です。
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【更迭①】不満からの「やる気喪失」
事例の一つ目。
事例はすべて中間管理職からの更迭です。
優秀だし、会社への満足度が高い時には前向き。
しかし、ひとたび不満を抱えると急に行動が止まる。
その行動が部下から見て“やる気がない”“高圧的”などと映っていることが問題になった。
上司との評価面談では「このままだと更迭するしかない」という勧告を何度もされるが、改善が見られず更迭に至る。
問題は本人にもあるし、会社にもあると思った更迭でした。
本人の問題
自分が変化しようと思えなかったこと。
また、会社に納得がいかないにも関わらず役を降りるわけでもなく転職するわけでもない。
会社を変えるための働き掛けをすることもない。
管理職としての自覚不足だった。
会社の問題
部下から不満が上がるほどの事態になるまで、やる気のない管理職を置いてしまったこと。
実に1年以上の間、問題があることが分かっていながら更迭できなかった。
明確な更迭の基準があれば、お互い嫌な思いをしないで済んだかもしれない。
更迭した本人も、そのような憂き目に合う前に
基準が分かれば、何をすればいいかが分かったはず。
本人においては、不満があるなら
自分を変えるか会社を変えるかどちらかです。
でないと、困るのは部下なんです。
また会社は、部下に与え続けている影響を現実として捉えないといけない。
時には心を鬼にして、更迭することも必要です。
それに大事なことを忘れてはいけない。
本人が会社に不満を持った原因を特定し、対処しないといけない。
何か問題が起こったら、会社のどこを変えるべきなのか判断する。
会社を変えてはいけないのなら、
“本当にこの会社にいることが本人のためになるのか”を真剣に考える。
当然解雇なんてできません。
しかし、本当にこのままでいいのか?という
本人の『キャリア』を考えるきっかけを与えるべき。
会社も本人も、面倒ごとは避けたいもの。
しかし管理職の『キャリアストップ』を生んではいけません。
参考記事
-
管理職が『キャリアストップ』すると、こんなに悪影響!悪意なき罪…
続きを見る
【更迭②】判断軸が「自己中心」
これは本当に難しい。とにかくすれ違います。
どんなふうに会社から評価されるかというと、
本人は到底受け入れられないようなもの。
「ズレてる」とか、「自己満だ」と言われる。
しかし、そのズレの正体が分かれば苦労しない。
そもそも、「だったらなぜ昇進させたんだ?」と思っています。
本人も、周囲の人も。
部下は「なんであんな人が上司なんだ」と思う。
本人は「認められたから昇進したはずだ」と思う。
いや~なすれ違いですよね。
昇進させた以上、会社も責任を持って育てようとする。
そして根本的な“ズレ”の修正には時間がかかる。その間にも部下は疲弊したり諦めたりしていく。
不の連鎖が続いてしまいます。
本人の問題は大きかったです。
しかし、その人を昇進させてしまった会社の問題もあります。
本人の問題
自分の自尊心を満たすための提案や決定になっていて、会社の意思を取り次ぐスタンスがなかった。
会社の考えから部下を切り離そうとする。
会社の問題
昇進する時の基準がブレていた。(上司からの推薦を重視してしまった)
昇進させてからのリカバリー策がなかった。
中間管理職の自己中心は絶対ダメ!
これも、困るのは部下です。
会社を変える必要があるのなら、その発言権を持って会社に進言する。
自分が部下に与える影響を理解していない。
仕事理解不足と、自己理解不足です。
部下の人生は部下のもの。
上司の都合で“会社を嫌いになる”ように仕向けてはいけない。
【更迭③】部下からの「突き上げ」
これは可哀そうだと思ってしまう事例です。
更迭してほしくないし、なんとかしたいけど・・・というやつ。
仕事は堅実、着実タイプ。
しかし何をするにもワンテンポ遅れる上司。
指示を仰いでも、決断までに時間を要する。
部下から「なんであの人が上司なんだ」と言われる。
会社も相対的に見て、徐々に全体のレベルから遅れをとっていることを認識。
本人の変化も望めず、仕方なく更迭に至る。
悪い人ではないのに、
「能力がない」とレッテルを貼られてしまったんですね。
そしてそれは、あながち間違っていない。
会社の成長についていけなかった。
成長というより、変化のほうが適切。
会社のルールが変わり、堅実よりも業績を重んじるようになったとたん評価されなくなった。
この会社の変化というものは、誰も予想できません。
時代の流れが読めたら苦労しないですから。
そして変化が起こった時に、
自分も一緒に変わるか、それとも離れるかは自分で意思決定ができる。
この事例の場合、変わりたいけど変われなかった。
こんなことも、起こってしまうのが会社の現実です。
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会社との「成長方向・成長度合い」が離れすぎた
いかがだったでしょうか?
3つの事例を紹介しましたが、まとめるとこういうことだと思います。
会社との「成長方向。成長度合い」が離れすぎたから更迭になった。
意図してもしなくても、方向が違ってしまった。思うように成長できなかった。
その会社のその役職に就くということ。
そのためには、矢印の方向と強さが合っていることが必要なんです。
だから、変化に対応できる人が生き残る。
本来、人間はそんなに柔軟に変わることができません。
だから『更迭が当たり前』の環境が本当は一番。
当然、簡単ではありません。
- 更迭してもその人を応援する。
- 上下関係がただの役割であること。
- 数字で評価する。
- 人格を評価しない。
- プライドを排除する。
このような組織風土をつくることが必要になる。
時間もかかるし、最初は必ず痛みを伴います。
トップとなる人はその痛みを我慢して、
目指す組織風土を明確にし、信じて決断する強いリーダーシップが求められてしまう。
しかし、この風土を得られた組織は本当に強い!
プライドが排除され、全員が無理なくイキイキと、納得・充実して働ける環境ができるといいですね。