多くの新卒、若者が悩むこの課題。
少しでも楽にしてあげたいけど、なかなか簡単ではないんですよね。
- 自分は何者なんだろう?
- 一体何がしたいんだろう?
- なんでこんなことしてるんだろう?
同じような悩みについて、こちらにも書いています。
-
【自分が何をしたいのか分からない】仕事がつまらない。抜け出して自由に!
続きを見る
以前のこの記事では、過去に自分がどんなことに興味を持っていたか振り返ること。
今自分はどんなことに喜びを感じるタイプなのかを知ること。
について書きました。
今回はもう少し一般論を織り交ぜながら書きます。
なぜかというと
この記事の趣旨は、そういう時期は必ずあるから安心してほしいということ。
そして必ず乗り越えて欲しいので、まずは“そういうものなんだ”という概論を知ってほしい。
どうすれば自分が見つかるかというよりも、まずは客観的に自分を見つめるというアプローチです。
『アイデンティティの獲得』について考えていきましょう!
アイデンティティとは何か
自分を見出すことによる「自己同一性」の獲得
いやいや、僕もこんな言葉使いませんよ?普段は。
アイデンティティ=同一性
「同一性」とは
他のものではない。それはそれであるということ。
これを、人を対象にした心理学・社会学では「自己同一性」と言います。
「自己同一性」とは
「自分は自分である」「これが自分らしさ」「他の人とはここが違う」
このような自分が何者なのかという自己認識。
どのような集団に帰属意識を持つのかも関わる。
獲得できないことによる「混乱」
そうです。自己認識を確立している状態の反対を「混乱」と言います。
なんとなくイメージできるかもしれませんね。
混乱=自分を持てない状態
- こんなの本当の自分じゃない。
- 自分が何をしたいのか分からない。
- 自分に存在意義を感じない。
こんな状態のこと。まさに正反対ですね。
アイデンティティは一回確立したらOKじゃなくて、また混乱することもありますよ。
「あ、私はこれでいいんだ!」⇔「やっぱこんなの私じゃない」
あなたは今どうですか?
僕はけっこうこの時期が長かったかなと思います。
未だに深く考えるときは軽く混乱したりしますが、以前にたくさん考えているのでそこまでダメージはないですね。
若いうちに自分が分からないからといって焦る必要はありません。
そういう段階です。
それに何度も繰り返しますからね。
成長はそうやって、らせん状にするものです。
乗り越えた時に自分が確信したものへの「忠誠心」が芽生える
また訳の分からない言葉が出ましたね!
ここで「忠誠心」だと?
ここで言う「忠誠心」とは
アイデンティティが発達したときに得られる人間の性質のひとつ。
ある価値観を信じて、それに力を注ぐことができること。
「仕事がんばろう」とか「この仕事楽しい」という状態になれる。
ん~ちょっと何言ってるか分かんないですね。
例えば、男って父親になったときに「なんか実感わかない」って無責任なこと言うんですよ。
僕もそうでした。
だけど、子供を見ているうちに「あ、俺パパになったんだ」とだんだん自覚していきます。
そうすると、「この子を守るんだ」という決意が生まれてきます。
父は子を守るものという価値観に忠誠心を持ったってことですね。
①混乱状態
②周辺環境から情報
③自分が何者か自覚
④信念を持つ
ポイント
社会に出たけど、仕事に興味が湧かない。やりたいことがない。
それはまだ、アイデンティティが確立されていないから。
新卒が社会に出る時期の一般論
だからね~、学生からいきなり社会に出るじゃないですか。
そりゃ混乱するよ!
正直ほとんどの人は社会人になりたくないしね!
その混乱の時期については色んな人がいろんな形で提唱してます。
「ライフ・ステージ」の探索期
提唱者
Super,D.E./1910-1994
キャリア発達は「選択と適応連鎖の過程」である。
キャリアに関する自己概念は晩年までかけて安定性を増す。
16歳~25歳は自己キャリアを探し続ける時期。
『探索期』である。
「個体発達分化の図式」の青年期
提唱者
Erikson,E.H./1902-1994
人生には8つの社会的精神発達段階がある。
それぞれに心理社会的課題がある。
青年期に自分が何者かに悩む。
アイデンティティの確立、確立しない場合の混乱がある。
乗り越えると忠誠心が芽生える。
「成人発達理論」の成人への過渡期
提唱者
Levinson,D.J./1920-1994
フロイト、ユング、エリクソンなどの理論から4つの発達段階を見出す。
それぞれ次の発達段階に移行する時には大きな過渡期がある。
17歳~22歳は青年期の生き方から離れ、自分で人生を切り開く自覚を持つ時期。
無力感・無価値感・自分が自分でない感覚などの課題がある。
『成人への過渡期』である。
境界人
提唱者
Lewin,K./1890-1947
社会心理学の父。
グループダイナミクスの概念確立、集団心理・リーダーシップなどを研究。
大人に成りきれない社会的に不安定な時期が青年にはある。
『境界人(周辺人)』である。
どうですか?ちょっと安心しませんか?
これ、今の時代だからじゃないんです。
100年前から人間の普遍的な性質を研究している人たちが、同じように考えている。
ということですよ。
社会に出ることは、自分を知ること
多くの経験、他者との触れ合いで自分を見つける
なぜ、この時期なんだと思いますか?
それは、社会に出る時期だからです。
社会に出ると今までよりも圧倒的に多くのものと自分を比べることになる。
へこんだり自信を持ったり調子に乗ったりする。
その繰り返しで、自分の形を知るんだよね。
そうなんです。
比べられるのは人間本来は嫌なものですけど、比べて初めて自分が分かるんです。
アイデンティティの確立=自分を持つこと
スイッチが入るように、明確に「自分が持てた!」なんてことないですよ。
そんなに0か100ではないです。
だけど少しずつ、
- こうやったらうまくいった。
- 自分はこれが得意かもしれない。
- 自分はこれが好きかもしれない。
自分の感覚と他者との違いを発見することでゆっくりと霧が晴れていきます。
「あ、なんか自分ってこういう人間かも」それは立派なアイデンティティですよ。
確立しないと、いくら稼いでも心理的成功がない
心理的成功とは仕事の充実感のことだと思ってください。
自分が何者か、何に喜びを感じるのか分からないのに、どんなに稼いでも充実感はありません。
ある程度収入が入るようになって、ふと立ち止まることがある。
「これでいいんだろうか?」
今までは生活するためにやってきたが、生活が安定したときに更なるアイデンティティを求める。
人間は欲張りなもんですね!
だから人生飽きずにいられるのかもしれませんが。
自分を信じる者
アイデンティティは育つものです。
磨かれるものです。
研ぎ澄まされるものです。
磨けば磨くほど、充実感を得やすくなる。
他の人には全く理解できないことも、やっていると幸せを感じるようになったりする。
自分を信じるほど、幸せになっていく。
ここまでいったら、いくら稼ぐというのは関係ないかもしれませんね。
しかし、稼げなくなるわけではないんです。
社会というのは本当に面白い。
「信じる者」=『儲』
アイデンティティを発揮した仕事は、面白い、成果が出やすい、提供された人も喜ぶ。
儲けやすくなっちゃってるんですよ。人間社会というのは。
やっぱり目指すべき場所はここですね。
自分らしく、楽しく働いて、みんなが喜んでくれる。
これから先の時代は、よりそんな時代になると思いますよ。
個性を発揮する時代。個の時代。個を見つけることが大事。
だから今は、悩んだ者勝ちです!
社会と自分は切り離せません
最後に、誤解のないように言っておきたいです。
個の時代というと、社会から切り離されることを望む人も多いですよね。
社会がないと、自分の取り巻きがないと、自分の形は見えません。
これは完璧なアーティスティックな生き方です。
例え天才的なアーティスト気質であったとしても、周囲の目に留まらなければお金はもらえません。
だから、“お金”というものを使って生きようとする以上、
「自分は社会から隔離されて一人で生きていく」というのは無理な話なんです。
ポイント
お金を使う=社会の生き方
社会の生き方は社会に出ないと育まれないようになっている。
独りでは、アイデンティティは確立しづらい。
社会と自分を切り離すと、いずれ無力感・自分でない感覚に苛まれる。
これを最後まで読めた人は大丈夫です。
よく周囲を観察して、自分について考えれば、だんだん自分が見えてきますよ。
時間はじっくりかけてくださいね!