子供たちの教育が変わる。
情報化・グローバル化・少子高齢化していく社会を背景として、課題が多くあるためです。
分断された学校と社会が、社会人への移行の弊害となっている。
自立的な意思決定のないキャリア進行。
僕も元人事部長として、キャリアコンサルタントとして、子供たちに何かできることはないか考えました。
社会人は机に向かって学ぶのが嫌い。
でも『アクティビティ』は好き!
だったら子供たちにもできるアクティビティはないかな~と。
小学校教育のねらい
まず、小学校ではどんな教育をしたいのかを確認しましょう。
キャリア教育の全体像
高校までの「キャリア教育」の全体像を見てみましょう。
まず、4領域8能力。
キャリア発達に関わる諸能力
- 人間関係形成能力(自他の理解能力、コミュニケーション能力)
- 情報活用能力(情報収集・探索能力、職業理解能力)
- 将来設計能力(役割把握・認識能力、計画実行能力)
- 意思決定能力(選択能力、課題解決能力)
上記に不足していた「自己管理」や「課題対応能力」を補ったのがこちら。
キャリア教育で育成すべき力です。
基礎的・汎用的能力
- 人間関係形成・社会形成能力
- 自己理解・自己管理能力
- 課題対応能力
- キャリアプランニング能力
では、小学校ではどのようなコンセプトで教育を進めていくんでしょうか?
小学校・各学年のコンセプト
低学年
好きなこといっぱい できることいっぱい 学校って楽しいな
低学年では、自分の好きなこと・得意なこと・できることを増やし、様々な活動への興味・関心を高めながら意欲と自信を持って活動できるようにすることが大切です。
中学年
自分と 友だちと みんないっしょに
友達のよさを認め、協力して活動する中で、自分の持ち味や役割が自覚できるようにすることが大切です。
高学年
挑戦する やりぬく 夢・希望を広げる
高学年では、苦手なことや初めて挑戦することに失敗を恐れず取り組み、 そのことが集団の中で役立つ喜びや自分への自信につながるようにすることが大切です。
と、文部科学省のホームページにはこのように書いてあります。
興味・関心の芽生え、自他の尊重、高学年では社会の中での活躍が視野に入れられていますね。
大人たちがやっている研修の中にも、子供がやったら面白いものがたくさんあるのではないか?
と思いました。
特にチームでワークに取り組み、個人の力を発揮するもの。
小学生にもできそうなアクティビティを考えてみました。
小学生にもできる!【アクティビティ】
フープリレー
以前、こちらでも紹介したチームビルディングの研修です。
-
チームの変革プロセス【チームビルディング】で生産性の上がる瞬間
続きを見る
簡単に言うとこんな感じのアクティビティです。
5人~15人ずつのチームをつくる。
チームメンバーは手をつないで内向きの輪になる。
どこかにフラフープを通してひっかけておく。
全員がフラフープをくぐり終わるまでのタイムを計る。
作戦タイムと実行タイムを交互に繰り返す。
当初は思いつかなかった方法にたどり着くのがベスト。
ファシリテーターが必要に応じて介入する。
2チーム以上で競うといい。
最初はひっちゃかめっちゃかだったチームが、一度混乱期を経てまとまっていきます。
役割意識が生まれ、一人一人の参画意識も出てくる。
途中の作戦タイムが秀逸で、ぶつかったり認め合ったりしながらチームになっていく。
上手くいかない体験、成功体験、一体感などが芽生えます。
結果の出し方には正解があるわけではない。
自分たちで考えて自分たちの答えを出していくところがポイント。
詳しく知りたい方は上の記事を読んでみてくださいね。
組み立て指示ゲーム
これは本来、社会人としてのコミュニケーションを学ぶゲームです。
色んな図形の板(パズル)を用意する。
2人1組になり、指示役・指示受け役に分かれる。
向かい合って座り、間にそれぞれのテーブルが見えないようについ立てを立てる。
指示役は「指示書」に書いてある図形を完成させるための指示を言葉だけで出す。
指示受け役は指示をヒントに、パズルを使って図形を組み立てる。
時間内に完成出来ればOK。
もしくは完成までの時間を競い合う。
周囲で見ている人(しゃべってはいけない)を作ると、その人たちも学びが深まる。
これも、2度3度やっていくと次第に上手になっていきます。
学びとしては、
- 言葉は意外と伝わっていない。
- 自分の言い方・捉え方が正解ではない。
- 相手の立場に立つということ。
というあたりです。
周囲で見ている人たちは、“指示が変に伝わった瞬間”を見ているので「ぷぷっ」と笑いたくなる。
でも本人たちは大真面目。
やっている二人は、互いに「相手が悪い」と思う。
しかし終わってから周囲の人の意見をシェアすると、学びを深めていくにつれ自分のいけなかっところにも気づいていく。
互いに自分のいけなかったところと向き合うことで、自分が全て正しいわけではないと知る。
相手の立場に立とうとする姿勢が芽生える。
これは終わってから全員が意見をシェアするところがポイントです。
気付く範囲は人それぞれ。
全員が興味が沸き、聞いている場面でそれぞれの気づきを発表し合う。
それからもう一度行うと、急に相手を思った発言や質問が飛び交うようになる。
コミュニケーションの質が変わることを体感できます。
マシュマロチャレンジ
これは有名なチームビルディングです。
より高いタワーを立てるゲーム。
4名1チームのチーム対抗戦。
(2人~5人で単独チームでもできる)
使える資源は決まっている。
マシュマロ1個、パスタ20本、テープ90㎝、ひも90㎝、ハサミ1本
制限時間は18分、二回目は12分。
タワーの頂上にはマシュマロを置く。
自立式のタワーでないといけない。
ワイワイガヤガヤしながらできる、とても盛り上がるゲームです。
学びとしては、
- とりあえずやってみることが大事。
- 何度も失敗を繰り返すことが成功へのプロセス。
- コミュニケーションが大事。
- 役割分担・役割意識。
といったところ。
このゲームの面白いところは、大人より子供の方が結果が出るというデータが出ていることです。
大人は「計画」から始まり、あと1回か2回しかできない時間になってようやく動き出す。
すると、予想外のことが起こり修正が間に合わない。
子供は「実行」からはじまる。
すると予想外のことにいち早く気づき、何度もチャレンジすることができる。
失敗は怖がっちゃいけない。
成功のためには失敗が必要だし、どんどんチャレンジした方がいい。
という気づきを与えることができる。
この気づきは、「挑戦する」という高学年の教育コンセプトとマッチしていますね。
気づきは日常の体験へ
今回は3つのアクティビティを紹介しました。
機会があったらぜひ、やってみてください。
最後に、アクティビティでは「気づく」ことができますが、
それだけで成長するわけではありません。
「成功のためには失敗がつきものなんだな。チャレンジは大事なんだな。」
と気づいたところで、チャレンジできるようになるとは限りません。
気付いたことは日常生活の中で反復していくことが大事です。
「やってみたいけど何か怖いな」と思った時に思い出して、
「チャレンジすると次に繋がるはず。失敗してもいいからやってみよう。」と思えることが大事です。
「気づき」を日常生活に活かしていくことで、社会人として望ましい習慣を作っていく。
そうすると、キャリアの教育としてとても有意義なものになるはずです。
社会に出てからギャップに悩まない子供たちを育んであげたいですね。