学校と社会のキャリア教育①

こどもたちへ

保護者も先生も知らない【キャリア教育】①社会で何が起こってるの?

2020年5月20日

2020年小学校から強化されるキャリア教育。

『生きる力』というテーマの新学習指導要領を、ほとんどの親が知らない。

キャリア教育の当事者は、学校だけなのか?

そもそもの問題はどこで起こっているのか?

先生だけでなく、保護者が知るべき・やるべきこと?

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なぜ?強化される【キャリア教育】

今回は、2020年小学校から始まったキャリア教育の強化についてお話します。

特に、中学高校では職業選択・進路選択が迫る中、保護者からすれば学校で何が起こっているのか?」が分からない

学校からすれば「社会で何が起きているのか?」が分からない状況だと思います。

なぜ、「キャリア教育」なのか?そもそも、「キャリア」って何?

 

職業選択が困難な社会人

まず、社会的発達には段階があると言われています。

「エリクソン」というアメリカの発達心理学者が提唱した「個体発達分化の図式」というものがある。

 

発達のステージを大きく8つに分け、それぞれの時期にクリアすべき課題があるとしているんですね。

中でも有名なのが、「アイデンティティ」です。

自分が何者であるかという概念や信念。

青年期(職業選択の時期)にアイデンティティを一旦確立できないと、自己は混乱・拡散し悩み続ける。

 

しかし、現代の日本ではこの発達が遅れていると言われています。

 

すると、どうなるでしょう?

  • 自立に向けた興味や機会の喪失
  • 進路選択を先送りする
  • 将来計画が希薄
  • 職業とのマッチングができない
  • 社会への準備不足により即戦力になれない

 

簡単に言えば、「何をしたいのか分からない」ということです。

 

どうしてこの会社に入社したのかも明確ではない。

自分がどこに向かいたいのか、何をすべきなのかも分からない。

迷い続け、「これでいいんだろうか?」と悶々としている社会人が多く存在しています。

 

「氷河期×終身雇用」の問題

次に、氷河期世代が過去にろくな教育を受けられず、会社で活躍もできないし転職も難しいという問題。

僕もこの世代なので、よ~く分かります。

 

当然、若者からすれば非難の的になるわけですね。

「なんであんな奴が上司なんだ!」「会社に居座らせるな!」と。

 

もちろん全員に問題があるという訳ではありません。

早く“学びが足りない”と気付いた人は、自分なりに成長できたことでしょう。

しかし、基本的には誰もそんなことは教えてくれない

仕事を選べず、就職してすぐ教育を受ける余裕のない環境だった。

今はやっとの思いで、自分の力で獲得した安定した場所にいる。

 

「社会は実力主義なんだから、更迭すればいいじゃないか」

と思うかもしれません。

しかしここが終身雇用の大問題です。

一度上がった生活水準を下げることができない。

 

世の中が転職ありきではない。

少しは変わりましたが、他国からすればいまだにこの傾向は強いです。

 

後ほどまた解説しますが、終身雇用ありきの仕組みから抜け出せないでいるんです。

実は、『安定を求める』のが終身雇用の最も怖いところです。

 

「キャリア」の捉え方の問題

また「キャリア」についての捉え方にも問題があり、「キャリア教育」と言われてもピンとこないはずです。

 

「キャリア」と言ったら、ひと昔前までは過去の経歴やこれから昇進していく道筋のことでした。

これも明らかに終身雇用的ですよね。

そしてこの定義は日本の世俗的なものです。

 

では、文部科学省ではなんと言っているか。

キャリアとは

人が生涯の中で様々な役割を果たす過程で、自らの役割の価値や自分と役割との関係を見出して行く連なりや積み重ね~

「キャリア教育の必要性と意義」より

 

分かりやすく言えば、『人生の道』です。

「キャリア」とは実はかなり広義的なものであり、今まで限定された捉え方の中で大切な考え方が抜け落ちていた。

 

人口増時代の終身雇用ならば、ただ一本の職業の道を示す「キャリア」でよかった。

しかし「それではもう間に合わない」から、私たちキャリアコンサルタントが生まれたりキャリア教育が強化されたりするんですね。

 

どうしたい?どうなりたい?がカギ

キャリア教育の目指すところは、『生きる力』の強化です。

変化していく世の中で、柔軟に対応し続ける力。

 

そのためには、

  • 社会人基礎力をはじめとした基礎的力
  • 思考力、判断力、表現力などの変化対応の力
  • 実際に社会や生活で使える知識、技能
  • 学びと実用を結び付け、学ぼうとする意欲
  • 人間性

などが必要になってきます。

 

実は学校では、段階ごとにこの狙いが設定されています。

では、その大元は何でしょう?

基礎力のさらに基礎・・・例えば小学校は?

ポイント

小学校の発達テーマは、

興味、関心、憧れのイメージ

 

つまり『自己理解』です。

自分という軸を持つために、人は生きている限り『自己理解』を続けていきます。

「アイデンティティ」にも繋がっていく自己理解が、すでに小学校からテーマになっている。

(幼児教育から始まっていますが)

 

今子供が高校生なら、進路選択の前に自己理解が進んでいるのか?

確認が必要でしょう。

 

“みんなと同じように”が通用する社会ではありません。

人生の道である「キャリア」の主体は自分である。

自分しかいないという意識が、キャリア教育の目指すところです。

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学校に頼っていいことなのか?

『キャリア教育』はものすごく大切なことだということが分かって頂けたでしょうか。

では、これを学校の先生に「ちゃんとやってよ!」と言っていいのか!?

僕はそうは思いません。

 

先生は忙しすぎる

まず、現在の先生は「やりなさい」と言われることばかり

「やめていいですよ」と言われることがないんですね。

こんなことを一般企業でやったら、相当ブラックだと言われるものです。

 

しかし、先生は自分の担当の教科の準備をし、テストを作り、テストの点を付け、

クラブ活動や部活動の顧問をやり、保護者とやりとりし、

一人一人の生徒を注意深く見て、いじめがあったら大問題になり、

夜遅くまで次の日の準備をする。

そのうえ専門でもなんでもない『キャリア教育』をやる。

相当な自己犠牲の精神や使命感でもない限り、到底できるものではない。

 

だけど、社会では実際に問題が起きているんだから“誰かがやらないといけない”

ここで「それは本当に先生がやるべきことなのか?」という疑問があります。

 

社会の問題を把握しているのは誰?

問題が起きているのは、学校ではありません。社会です。

でも、社会起きていることを先生は教えてもらっているでしょうか?

 

教育が進んでいると言われるフィンランドでは、先生は勉強を教えるだけの存在だそうです。

スポーツは近くのクラブチーム教える。

進路指導は親がするもの。

 

日本の常識とはずいぶん違いますね。

しかし、今現在で成果が出ているのはフィンランドの方です。

各分野の専門家が子供の教育をバックアップする。

社会の問題を体験している人が、キャリア教育を一番施せる可能性がある。

 

保護者の方は日々仕事をしていて、「会社のここが問題だ」と思うことがあるはずです。

「若い連中は・・・」と思うなら、何が問題なのか?

「上司が使えなくて・・・」と思うなら、何が問題なのか?

その答えはキャリア教育の中に必ずあります。

 

会社でこんなことがあってな・・・

その原因はこれだと思うんだよな・・・

それについてお前はどう思う?

 

日々一般社会で仕事をしている人ならば、

学びと社会の問題を繋げたアプローチができるのではないでしょうか。

 

『第三者へ』教育体制は更新が必要

だから、キャリア教育において、学校の先生に頼り切っていてはいけないのではないでしょうか。

同時に今の教育体制にはムリがあるので、改革が必要なのかもしれません。

 

ポイントは、『第三者』の存在だと思います。

それは私たちのようなキャリアコンサルタントであったり、一番近くで見守っている親の存在です。

 

とはいえ、親も仕事で忙しいのが今の社会です。

すぐには変化できない。

私たちもなんとかしたいと思っていますから、子供たちの未来のために少しづつ変わっていきましょう。

 

できることは、

第一に、『キャリア』を知ること。

教育の現場や社会で、同時多発的に変化を受け止めていくこと。

 

次回は、終身雇用で何が問題となっているのか。

みなさんの仕事と照らし合わせて考えてみてください。

そして、親として子供にできるキャリア教育についてお話していきます。

社会の行先『終身雇用の爪痕』

  • 学生と社会の接続問題
  • キャリアストップ=変化非対応
  • 『学校・大学・社会・家庭』で同時多発的変化を

子供の『興味領域』と『キャリアアンカー』

  • 子供の興味領域
  • 子供のキャリアアンカー?

親ができる【キャリア教育】

  • 『キャリア』を知る
  • 限定しない。広げる。
  • 環境づくり=プランド・ハップン
  • 『自己理解』できる子供に

 

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宮内 利亮

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