上司の「君はもっと頑張れば出世できるぞ!」という一言。
はたして全ての人にモチベーションを与えるだろうか?
仕事をする上での喜びは、なんと8種類もあった!
適当に声を掛けてもハズレは必至。
さらに根本にある価値観は、4つの思考特性から来ています!
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【仕事の喜び】8のキャリアアンカー
仕事をする上での価値観と言われる『キャリアアンカー』。
その数は8種類。(ほとんどの人が複数持っています。)
正反対のキャリアアンカーから激励されても全然響かない!
「あいつは全くやる気が見えない」と思っていたら、かける声や与える役割が間違っているかもしれません。
専門・職能別能力
専門・職能別能力
特定の分野で能力を発揮し、自分の専門性や技術が高まることに幸せを感じる。
常に自分の仕事に磨きがかかっていくことが嬉しいんですね。
だから次から次に部署を変えたり、やることが定まらないような仕事の与え方は強いストレスになります。
集中的に専念したいので、専門外の事をやらされるのも無駄に感じてしまいます。
全般的経営管理能力
全般的経営管理能力
集団を統制し、権限を行使して、組織の中で責任ある役割を担うことに幸せを感じる。
出世欲が強いので、他の人より成果を上げているのに評価されないと辞めたくなります。
また、誰でもできることを任せてもあまり嬉しくない。
自分だけの、輝けるステージを求めているからです。
人から頼られるのは大好きで中心的になれる人物、反面疎外感があると反対勢力になってもおかしくありません。
自律・独立
自律・独立
組織のルールや規則に縛られず、自分のやり方で仕事を進めていくことを望む。
ガッチガチにスケジューリングされることは大嫌いです。
上から「あれしろ、これしろ」と作業を与えていたら、ストレスを感じていつか爆発します。
本当は自分で考えて自分のやり方でやりたいからです。
細かいやり方の指示やいつも上司に監視されているような環境からは逃げ出したくて当然です。
保障・安定
保障・安定
一つの組織に忠誠を尽くし、社旗的・経済的な安定を得ることを望む。
一番やってしまうのが、「チャレンジしなさい!」ですね。
確かにチャレンジは必要なんですが、その目的が安定を得るものでもない限りなかなか動けません。
不安定で一時的な成功を望んでいるわけではなく、長期的に成功と言える安定を望んでいるんです。
起業家的創造性
起業家的創造性
リスクを恐れず、クリエイティブに新しいものを創り出すことを望む。
新しいことに取り組んでいけない、取り組みが窮屈だと感じるとストレスを感じます。
いつも同じことの繰り返しをしていると、どこかに飛び出したい衝動に駆られることがあります。
もっと刺激のある、ハッと驚きのある仕事を求めています。
奉仕・社会貢献
奉仕・社会貢献
社会的に意義のあることを成し遂げる機会を、転職してでも求めようとする。
自分がしていることが世の中にどう影響しているかがとても気になります。
だから世間的にイメージが良くない業界には長期的にいられない。
「押し売り」のようなやり方をしていると、いくら社内で評価されても辞めたくなります。
純粋な挑戦
純粋な挑戦
解決困難に見える問題の解決や手ごわいライバルとの競争にやりがいを感じる。
競争を楽しめるような価値観なので、闘争心がモチベーションになりやすい。
「すごいこと」をしたいので、誰でもクリアできるような課題にはつまらなさを感じる。
仲間のモチベーションが低いとストレスに感じる。
生活様式(ワークライフバランス)
生活様式
個人的な欲求や家族の願望、自分の仕事などのバランスや調整に力を入れる。
プライベートな時間が充実していると仕事が楽しい。
「人生は仕事が中心だ!」という価値観は受け入れられない。
仕事に偏った促しをしても通用しないことが多い。
『新・旧』社会人、喜びを知るのは?
では、8つもあるこのキャリアアンカー。
“自覚しやすい”のは、中年以降の旧社会人か?
はたまた、20代~30代の新社会人か?
基本的にキャリアアンカーは社会経験を経て自覚していくものです。
しかし、経験を無視して学生時代のベースを考えると、実は自分を“自覚しやすい”のは新社会人のほうではないでしょうか?
少し前の社会では、「最近の若い者は!」と『生活様式』のキャリアアンカーを良しとしない風潮がありました。
つまり、中年以降の世代では、そもそも社会全体が受け入れているキャリアアンカーが偏っていたんです。
近年では「多様性を受け入れないと社会は持続不能だ」と言われています。
全く真逆ですよね。
私のような、40歳近くの世代は『キャリア教育』を受けたことがない。
旧社会人は一様である事を求められた。
新社会人は個性・興味を自覚することを求められている。
だから必然的に、間違ったモチベーションの上げ方をしている上司が多いんです。
「押し付け」である事に気づくことから、今までの価値観を更新すること大切です。
これから先、おそらく色んな意味で“自分を持った”若者が社会に進出していくでしょう。
大人たちはこの個性をどう評価し、共存していくのか。
しっかり考えないといけませんね。
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【価値観をつくる】4の思考特性
キャリアアンカー以前に、根本的に人の価値観を形成するのが『思考特性』です。
分析型
- 物事を明確にしたい。
- 論理的な問題解決をしたい。
- 分析により理解を深める。
- 矛盾はとことん追求したい。
分析型は、『賢い人・出来る人』と思われるのが嬉しい。
喜ぶポイント
能力・才能を認める。
「○○さんって数字に強いですね。」
(ポイント・ポイントで)
言われて嬉しい言葉は、
「頭の回転速いよね」
「何でも知ってるよね」
「よく考えて仕事してますね」
構造型
- 現実的な思考。
- 予測できることを好む。
- 計画を立てて確実に実行する。
- 新しいアイディアには慎重。
構造型は、『きっちりした人・真面目な人』と思われるのが嬉しい。
喜ぶポイント
几帳面さをそれとなく認める。
「○○さんがきっちりやってくれるので助かります。」
(一度だけ)
言われて嬉しい言葉は、
「丁寧にしてくれてありがとう」
「頑張ってるね」
(きっちりしてるね、真面目だねはあまり好まれない)
社交型
- 感情的・同情的。
- 相手との関係性を重視する。
- 人に対する直観力がある。
- 人をサポートするのが好き。
社交型は、『いい人・やさしい人』と思われるのが嬉しい。
喜ぶポイント
気遣いを常に認める。
「いつもありがとう。○○さん、よく気づいてくれるよね。」
(何度も)
言われて嬉しい言葉は、
「いい人だよね」
「○○さんと一緒にいると楽しい」
「それよく分かるわー」
コンセプト型
- 想像力豊か。
- 変わっていることを好む。
- 映像が頭に浮かぶ。
- アイディアに対して直観的。
コンセプト型は、『すごい人・ユニークな人』と思われるのが嬉しい。
喜ぶポイント
すごい、最高、ユニークですね!
「このアイディアすごいですね!おもしろそうですねー!」
(大げさに)
言われて嬉しい言葉は、
「すげー!最高ですね」
「変わってますね(ユニーク)」
喜びは一様ではない!
組織の中で喜びが溢れるということ
こんなにも、人は違います。
喜びを感じる仕事も違うし、そもそもの価値観まで違うものです。
『組織の中で喜びが溢れる』ということは、色んな価値観・色んな喜びが受け入れられているということ。
一様なやり方でモチベーションが上がる組織はない。
そんな組織があったら、相当偏った人で形成されている。
多種多様なキャリアアンカーと思考特性の人たちが共存できる組織は、互いの強みを発揮し合って相乗効果を生める可能性を秘めています。
組織が仕事を分担し、役割を与え、適材適所の人事が出来れば、『同じ人、同じ時間、低い労力、低いストレス』で今まで以上の結果を生むことになりますね。
『我慢』と『発揮』の分け方
最後に、
「個性を伸ばしてあげたいけど、こんなこと認めていいの!?」
ということもあるかもしれませんね。
もちろん、全てを個性で片づけてはいけません。
この分け方は簡単です。
社会人全員が守るべき法的・マナー的領域は『我慢』が必要。
キャリアアンカーや思考特性は『発揮』できる場所へ。
『わがまま』と『個性』は何が違うのか?
上司であれば、しっかりこの辺りは学び、導いてあげたいものです。
上司が思い込んでいる、自分の(時代の)価値観に疑問を抱くことからがスタート。
そして若者が“本当に望んでいるキャリア”を発見してあげること。
それに合わせて、適切にアドバイスをしてあげましょう。
「こうならないとダメだ!」の前に、
「どうなりたいの?」と聞いてあげる姿勢を持ちましょう。