キャリアコンサルタントで元人事部長が、就職活動やはじめての転職活動をする若者に多い悩みにお答えします。
「仕事選びの軸が決められない」
多くの人が通るこの悩み、ヒントは「考えるより動く!感じる!決める!」
仕事の価値観はどうやって決まるのか?
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20代の就職・転職「仕事選びの軸が決められない」
将来の道を慎重に選ぶほどに・・・
初めての就職活動。
初めての転職活動。
若いうちであっても、若いがゆえに慎重に仕事を選びたくなりますね。
そもそも選ぶ余地がなかった時代と違い、今はあらゆる仕事の情報が溢れている。
教育も充実し、色んな職業に就ける可能性が広がっている。
数多くある選択肢がある事に加え、「最初が肝心」という思いがより活動を慎重にさせ悩みを深くさせる。
いきなり何百という可能性を提示されて、到底選びきれるものではありません。
しかもこれは人間の発達段階上、当たり前のことでもあるんです。
20代では決まらないのが“当たり前”
実は20代というのは、まだ仕事に対する価値観が確立されていない時期になります。
これからも価値観は変わっていくし、まだ体験していない社会も存在するんです。
「20代では決まらないのが当たり前」という前提を持てば、少し楽に就職・転職活動ができる。
このブログでよく触れている「キャリアアンカー」は仕事に対する価値感を示すものですが、仕事をやったことのない人には確立しようがないものなんです。
「やってみないと分からない」
元も子もない話ですが、まだ社会に出ていない(出て間もない)んだから仕方ない。
今できるのは、過去を振り返って少しでもキャリアアンカーに近そうな仕事を選ぶことぐらい。
後で書いていきますが、その選び方も一つや二つじゃない。
簡単い言うなら、今はまだ『興味』。
『価値観』になるのは、まだ先の話です。
どんな道にも横道がある
では、最初に選んだ道が間違いだったらどうするのか?
その仕事をしていた期間が無駄になってしまったらどうするのか?
でも僕はこう思います。
間違いなんて存在せず無駄にはならない。
あるとすれば、その仕事や行動の中から何も学ばなかった自分を反省するぐらい。
反省するなら、それすら無駄とは言えないですけどね。
キャリアの道は1本ずつではない。
必ず横にも道があり、通ってきた道も存在し続ける。
進み道は変えられるし、通ってきた道も残り続ける。
むしろ、別の道を歩んできたからこそ自分だけのオリジナルなキャリアが出来上がっていきます。
本当に極端な話、適当に決めたっていいんです。
もちろん納得するまで悩むのは自由ですが、これ以上悩みたくないと思うなら「エイヤー」と決めていい。
「プランド・ハップンスタンス」という理論では、キャリアの8割は偶然の出来事から形成されるとあります。
道を進みながら考えることの方がよほど重要です。
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20代の『キャリア』の考え方
20代前半の『ライフ・ステージ』
キャリア理論には、『ライフ・ステージ』という考え方があります。
ライフ・ステージ
【成長期】児童期・青年前期(0~15歳)
【探索期】青年前期~成人前期(16~25歳)
【確立期】成人前期~40代半ば(26~45歳)
【維持期】40代半ば~退職まで(46~65歳)
【下降期】退職以降(66歳以降)
現在の学校の学習指導要領も、だいたいこの年齢と同じ発達過程になっています。
高校生当たりから自分が何をするのか探しはじめ、それは25歳ぐらいまで続く。
仕事をはじめて最初のうちなんて、探している段階に他ならないんですね。
しかも自分を確立するのは26歳~45歳です。
ほとんどの人が思っているより、自分という人間の職業人生を確立するには時間がかかる。
『人生半ばの過渡期』と言われる職業人生最大の転換期が40歳ぐらい。
実に長い時間をかけて確立していくものです。
20代前半は探索期、20代後半でも確立期のはじめ。
青年期の健全な『社会的発達課題』
個人の社会的発達を示す『個体発達分化の図式』というものがあります。
【個体発達分化の図式】(エリクソン)
発達段階 | 発達課題vs心理的危機 | 発達のテーマ |
1.乳児期 | 基本的信頼 vs 基本的不信 | 希望 |
2.幼児前期 | 自立性 vs 恥・疑惑 | 意思 |
3.遊戯期 | 自主性 vs 罪悪感 | 目的 |
4.学童期 | 勤勉性 vs 劣等感 | 有能感 |
5.青年期 | アイデンティティ vs 混乱 | 忠誠 |
6.成人前期 | 親密性 vs 孤立 | 愛 |
7.成人期 | 生殖性(世代性) vs 停滞 | 世話 |
8.老年期 | 統合 vs 絶望 | 英知 |
今回の仕事の軸の話は、『5.青年期』のあたりになります。
【アイデンティティvs混乱】と書いてありますね。
この時期に課題となるのは「アイデンティティの確立」です。
それが出来ないうちは「混乱」の中にある。
アイデンティティを得られると、自分に対して「忠誠」を持つようになるということです。
詳しくはこちら↓
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【社会人1年目】なんで若者は悩むの?アイデンティティって何?
続きを見る
つまり、こういうこと。
若いうちに悩むのは健全であり、社会的発達のための課題に向き合っていると言える。
悩まない方がかえって遅い混乱を招いたり、発達テーマを得られない事態になってしまいます。
だから、悩んでいい。
そして、「エイヤー」と決めていい。
あなたの進むキャリアに間違いはありません。
価値観の確立には経験が必要
なんせ、「キャリアアンカー」を確立するには経験が必要です。
自分がどんな働き方をしたら幸せを感じるのかは、経験なしには決まりません。
若くして持論を持っている人は、それなりの経験をしている人です。
人より多く、早く経験しているだけ。
結局、社会に出て何年も経験を積まないと価値観は形成されない。
例えば本を読んだり人から聞いたりした知識で、使命感に燃える若者がいたとする。
だけどやはり、自らの経験から来る使命感に燃える人と比べると、どうしても薄っぺらい。
誰かが語っている“偉そうな持論”も、もしかしたら薄っぺらいものかもしれませんよ。
そんなものに踊らされて、焦る必要なんてないんです。
薄っぺらい使命感を持つよりも、まずは経験を積むこと・進むことが大事。
軸の“ズラシ”
軸は今考えているそれだけじゃないかも
仕事選びで悩んでいる人は、行き詰まっている場合も多いでしょう。
選考が通らない、最終選考で落ちてしまう、内定も辞退してしまうなど。
そんな時にやってみて欲しいのが、軸の“ズラシ”です。
あなたにとって、『軸』とは何でしょうか?
新卒のほとんどが、「職種」もしくは「業界」の事だと思っています。
だけどこの選び方は、軸の考え方のほんの一つにしかすぎない。
(ナビがこういう検索軸だからこうなるだけ)
同じ『軸』の考え方で職種や業界を変えるのではなく、
『軸』という考え方自体をズラシてみましょう。
- 職種・業界などの検索軸
- ベンチャー・大手などの事業規模軸
- 社長の人柄軸
- 休日や残業などの働き方軸
- どんな形でお金を生むのかのビジネスモデル軸
- 扱う商材などの興味軸
- 人との関係性の人脈軸
- 地元などの地域軸
つまり軸というものは、思いつき次第でいくらでも作れるものなんです。
むしろ職種や業界で決められるのは、よほど論理的思考で決定することに価値を感じている人だけ。
退職する理由は、きっと職種や業界ではありません。
まずは一番自分が納得できそうな軸から見つけてみましょう。
別の軸に“決めて”みる
ここからは、あまり悩んでもきりがない。
いくつもある軸、考えれば永遠に出てくる軸です。
最後はどう自分が納得するかです。
キャリアの正解は自分が決める。
どの軸にするかなんて正解は存在しません。
人生の道である『キャリア』の責任は自分しか負えないものであり、完全に自分主体。
誰がなんと言おうと、正解は自分の中にしかないからです。
決めた軸に間違いはありません。
選んだ道でどう学ぶかがあるだけ。
その時の自分が最善で選んだ結果であり、過去は全て正しいものでしかない。
決めて進むこと。
その次に必ず、自分のキャリアを形成する出来事がやってきます。
『アンテナ』を信じる
最後に、決めた軸で選んだ道、どうやって学べばいいのか。
それは、自分の『アンテナ』を信じることです。
歩んでいく道で、感じることがたくさんあります。
- 「楽しいな」
- 「嫌だな」
- 「やりがいあるな」
- 「なんかイイな」
- 「なんか好きだな」
- 「なんとなく近づきたくないな」
こういった感覚には、必ず理由があります。
『感覚』には理由がある。
自分のアンテナが感じ取ったものを信じて、掘り下げて調べ・考えてみよう。
あの仕事をやり遂げた時、どうしてやりがいを感じたんだろう?
辛かったはずなのに、この気持ちのいい感じは何だろう?
こういう上司嫌いだな。どうしてそう思うんだろう?自分はどう在りたいんだろう?
どんな仕事をしていても、感じることには意味がある。
その中には、あなたの価値観を形成する大事な要素が詰まっている。
『仕事の軸』は探しても見つからない。
仕事をしながら、感じ取って固めていくものです。
「hikarikata!」宮内に相談する