2020年小学校で変わった学習指導要領。
『キャリア教育』が強化されつつも親や社会はその現状を知らない。
そんな中、ついに始まった『キャリアパスポート』の意義や必要性について書いていきます。
社会や個人の何を解決したくて、誰が見るべきものなのか?
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2020年の小学校『キャリア教育』
子供が嬉しそうに「キャリアパスポートやったよ!」
僕がいるつくば市では、ついに学校でキャリアパスポートを使い始めたようです。
現在2020年7月、小学校6年生の子供が帰ってくるなり、「キャリアパスポートやったよ!」と嬉しそうに報告してきました。
(以前から家で話をしていたので)
ほとんどの子供たちは、初めて『キャリアパスポート』という名前を聞いたのではないでしょうか?
しっかり目的や運用方法も説明されたようですが、そこはやはり子供。
大部分は説明内容を忘れて帰ってきました!
無理もないですね。
子供は興味の湧くことに一生懸命で「将来のためになるから」と言われても、すぐに将来のために行動できるわけではない。
導いてあげる親や先生の存在はやはり重要になってきます。
しかし、このことを家の人に報告する子供は何人いるでしょうか?
説明された目的や運用方法を伝えられる子供はそのうち何人でしょうか?
おそらくほとんどいない。
だから親としても、積極的に新しい教育方針について学んでいかなければいけないと思います。
では、そもそも『キャリアパスポート』とは何なんでしょうか?
『キャリアパスポート』とは?
実は、文部科学省では何年も前から検討され、しっかりと定義づけされています。
「キャリア・パスポート」の目的
小学校から高等学校を通じて,児童生徒にとっては,自らの学習状況やキャリア形成を見通したり,振り返ったりして,自己評価を行うとともに,主体的に学びに向かう力を育み,自己実現につなぐもの。
教師にとっては,その記述をもとに対話的にかかわることによって,児童生徒の成長を促し,系統的な指導に資するもの。
「キャリア・パスポート」の定義
「キャリア・パスポート」とは,児童生徒が,小学校から高等学校までのキャリア教育に関わる諸活動について,特別活動の学級活動及びホームルーム活動を中心として,各教科等と往還し,自らの学習状況やキャリア形成を見通したり振り返ったりしながら,自身の変容や成長を自己評価できるよう工夫されたポートフォリオのことである。
なお,その記述や自己評価の指導にあたっては,教師が対話的に関わり,児童生徒一人一人の目標修正などの改善を支援し,個性を伸ばす指導へとつなげながら,学校,家庭及び地域における学びを自己のキャリア形成に生かそうとする態度を養うよう努めなければならない。
つまり、「子供の成長のために小学校~高校までを振り返り出来るものを作ろう」ということですね。
考えてみれば、今まで何か気付いたことを作文にしたとしても、1年間の資料をまとめて渡されて終わり。
しかも大量過ぎるので、親は見るのに一苦労だし、しばらく倉庫に眠ってやがて捨てられる。
今までは子供のポートフォリオが残らず、社会への進出時に自己理解が進まなかった。
キャリアを形成するうえで必要不可欠な『自己理解』を促すツール。
では、なぜ『自己理解』が必要なのか?
なぜ、『キャリアパスポート』なんでしょうか?
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なぜ『キャリアパスポート』なのか?
いま、学校と社会の接続はどうなっている?
特にいま、社会で問題となっているのが“学校と社会の接続”です。
自分が何をしたいのか分からないまま就職活動をすること。
社会に出る心の準備が出来ていないまま仕事をはじめること。
これらが、社会的発達の妨げになっていると言われています。
この一番の原因は、『自己理解不足』です。
学生のほとんどは、就職活動をするときに初めて自己分析をします。
その自己分析も、分析ツールを使って適性を出すだけで満足してしまったり、自分の答えでなくデータを信じてしまったりする。
結果、就職後も悩みは消えず、働く理由がないため辛くなる。
初めての転職の時にはまだ職務経歴書も作ったことがなく、初めて『ポートフォリオが必要なんだ』と気付く。
社会が早期に活躍する人材を求めるのに対し、社会人の発達が遅れている傾向にある。
その原因は自己理解不足。
また、僕のような30代後半以降の年代はキャリア教育を受けていないため時代の変化に追いつけないことも多く、次世代の教育も難しい。
アンバランスで歩みの遅い我々を、時代の変化は全く待ってくれません。
だから、子供たちに早いうちから『自己理解』のためのツールを用意しようというわけですね。
『自己理解』のために必要な振り返り
人生の道である『キャリア』を形成するためには、『自己理解』がどうしても必要です。
- 自分はどこに興味領域があるのか?
- 自分の特性は何なのか?
- 自分のキャリアアンカーは何なのか?
- 自分は何が得意なのか?
- 自分は何に喜びを感じるのか?
こういったことを理解せずに仕事を決めたら、そりゃあ嫌になることもありますよね。
興味領域は6つあると言われているので、適当に選んだら5/6がハズレということになります。
キャリアアンカーは8つですから、7/8がハズレという絶望的な数字になりますね・・・。
メモ
実際は興味領域もキャリアアンカーも複数持つものだし、無意識で選び取ったりしているのでもっとハズレ確率は下がります。
この確率を、どうしたら上げられるのか?
ヒントは自分の過去にちりばめられているんです。
- ある体験をしたときに、何を感じどう思ったのか?
- 幼い頃の自分は、何をしたくて何になりたかったのか?
- いつ、何をしたとき、誰に褒められたのか?
- 人より出来ていたことは何なのか?
小さなころの出来事を、大人になった頭で振り返る。
大人になった頭・新しい回路が出来た脳で振り返ると、子供のころは理解できなかった自分を発見することができます。
そのためには“記録”という灯りをともしておかないといけないんですね。
『キャリアパスポート』は自己理解を助け、自分を表すポートフォリオになるべきものです。
本当は親が見たいもの
『キャリアパスポート』は現在、学校でのみ運用されます。
家に持ち帰らないんですね。
僕はこれがとても残念!
子供のキャリアを本気で考えられるのは、親でしかない。
責任も親にしかない。
目的から考えると、親が運用するべきものだと思う。
だけど、何のために使うのか、どうやって使うのか、講習でも受けないといけないような話になってしまう。
使い方を統一して高校までもっていくのも難しいでしょう。
だから仕方ない面はあります。
しかしこれを先生任せにせず、親も『キャリアパスポート』の存在や意義、必要性を理解しておくべき。
お子さんが小学校に通っているのなら、さっそく「キャリアパスポートってやった?」と聞いてみましょう!