これ、パワハラじゃない?

会社で起きる問題

そのパワハラを因数分解!振り返って分かる10年前からあった兆候

2019年7月22日

もと中小企業人事部長のみやです。今回は少し重い話題に挑みます。

パワハラ

言葉を見るだけでイヤになりますね・・・。これを見ていただいている方はもっと嫌な思いをされているかもしれません。

部下にとってパワハラはとっても耐え難いものです。悔しく、みじめで、自分の価値を失いそうになる。

一人でも多くパワハラをする人が減ってほしいし、一社でも多くパワハラを黙認または気づかない会社が減ってほしい。

そんな思いで書いていきます。

 

パワハラの原因、因子となるものを私なりの観点で整理したものです。17年中小企業にいたものですから、良い時も悪い時もありました。

なぜあんなに環境が良かったのに、気が付いたらパワハラまで発展する状態になっていたのか?

また、転職してくる人たちの会社はなぜあんなにも酷いもか?

すると、教育に問題があるのではないかと思うようになりました。教育の問題は長い時間をかけて表面化していきます。だから気づきにくい。

問題が表面化するポイント

  • 人そのもの
  • 企業体質
  • 関係性

これが起こる会社は何度も起こる。奥に潜む根本課題を解決できないからです。パワハラの根本原因まで因数分解して解説していきます。

しっかりパワハラの因子を見つけ出し、安全な会社を選べるように願っています!

 

1.組織人の育成

上司への教育が不十分だった

まず真っ先に思い浮かぶものです。

上司の言動は本人が思っているよりも部下に影響を与えます。だから上司は上司になった瞬間から今までと同じでいてはいけません

私は以下のようなことを管理職になった者に研修していました。

  • 上司としての言葉、発生の仕方
  • 上司としての表情、振り向き方
  • 上司が出す音(歩き方や物の置き方、扉の閉め方)
  • 指示の出し方
  • 管理職が見せる、物へのこだわり

などなど。(それぞれ解説は省きます)

ほぼ全員が、ここまでやるの~・・・という反応をしますが、もちろん全部はできません。ただ知っていることが大事なのです。

「あっ、今やっちゃったな・・・」と思えればフォローのしようがありますから。

 

最低限、上司はパワハラの知識がないと絶対にダメです。

「えっ?それパワハラになるの?」なんてことを言う人がいる会社は教育されていませんから、危険度大です。

因子①

上司全員にパワハラになりえる事柄を共有できていない。

 

全社員への教育が不十分だった

実は、上司が勉強するだけでは不十分です。

全社員が「これはダメ!」ということを共有しないといけません。それから上司になる時にはまた特別なトレーニングを受ける。

上司だけが知識があり部下に知識がないと、ギリギリのところで社会的に問題にならない程度にパワハラをします

余計悪くなってしまう可能性がありますね。

だから「部下がパワハラをいつも警戒している」という抑止力が必要です。

 

それからもし、実際に危うい言動をした上司がいたらすぐに表沙汰にすることが大事です。

だれかが声を上げないといけません。声を上げた人が責められない環境が必要です。だから、全社員での共有が必要になるんです。

因子②

声を上げづらい文化になっている。だから少しずつ暗黙の了解に変わっていく。

 

2.企業体質の醸成

プライドが排除しきれていなかった

これは細部に注意して見てみてください。くだらないと思われるような細部にこそ因子が隠れています

  • 「おい!」と呼ばれることがある。
  • 呼び捨てで名前を呼ばれる。
  • 目を見ないで書類の受け渡しや挨拶をする。
  • 鼻で笑う人が多い。

特に人の呼び方には顕著に現れます。学生時代の部活のノリです。

本来社会に出れば実力がものを言います。年齢が上の者を敬う必要はあると思いますが、年齢が下の人に対しては上の人が謙虚な気持ちを持って接しなければいけません。

しかし実力に不安がある上司ほど、違う部分で勝負に出る必要があります。それが威圧的態度に出てしまうんです。

これが世にいうプライドの正体です。

会社はこのプライドを排除するため、挨拶の仕方や人の呼び方などが出来ていない人に対しては指導を行うべきです。

 

また、目を見ないことには人を大切にしようという意識が見えません。

立派な危険因子ですね。

因子③

謙虚な姿勢であるための指導、仕組みの整備がされていない。

 

一貫性がなかった

素晴らしい人はどこにでもいるものです。部下はその人に憧れて頑張っていたりしますね。

しかし、全員がそうではありません。人によるギャップが大きいほど一貫性のない会社として見られます

「あっちは良いのにこっちは悪い。」「お前の上司はいいよなあ。」と不安が募っていきます。

この一貫性のなさは企業の教育が行き渡っていないこと、放置する習慣から生まれます。

 

これもよくあることですが、上司によって言うことが違ったりすると部下はなかなか言えません。

「どっちが正しいんだ?」と不安や不満を抱えたまま放置されていく。透明性がなくなって空気が淀んでいきます。

そうして一貫性がないことを全員が受け入れてしまうことによって、規律が乱れ「まあいいか」の風土に変わっていきます

優秀な人はものすごく我慢をしている状態になっているはずです。

因子④

ダメなものはダメと言える組織でない。

 

3.信頼関係の構築

コミュニケーションが不足していた

どうしても危うい出来事は起こってしまうものです。上司や社長も人間ですから、神様仏様のような言動を求めるわけにはいきません

ではなぜ、うまくいっている会社はうまくいっているのか。

それはコミュニケーションの量が関係しています。

大事なことですが、質は関係ありません。質で解決しようとするということ自体がパワハラに感じませんか?

「あれだけ良い場を作ってやったんだから文句言うな」という感じでしょうか。

 

大事なのはお互いを知ること、お互いの距離です。

距離が遠いと上司はこうなる

「冗談のつもりだったのに・・・」

「そんなこと言ってない・・・誰が言ったんだ」

「よかれと思ってやったのに・・・」

上司としてはつらい所ですが、これが現実です。

人間は面倒な生き物ですね。だからこそ無条件に信頼しあえた時の力が大きいのですが。

因子⑤

相手を知るだけのコミュニケーション量がない。

 

道徳より収益への協力体制が重視されるようになっていった

企業がある程度成長してくると、ある意味賢い集団になっていきます。利益が上がるための手段を協力して考えることができるようになってきます

今までは「良い環境をつくろう!」「コミュニケーションは大事!」と頑張っていたのが幼く見えてきます。

「そんなことをしても金にならない」ということを合理的に省きたくなります。

ここが落とし穴です。

 

例えば「コミュニケーション量が減ると長い時間をかけて大きな問題に発展する!」なんて誰かが声をあげたところで、聞く耳を持てる人は少なくなっています。

全員で協力して目の前の利益を得ることにやりがいを見出していますから、会社全体がそのような流れになっているはずです。

このやりがいを損なうことなく伝統も守らせるところが、上司や社長に求められるスキルです。

ここで上に立つ者が長期的な視点を持ち、ダメなことはダメと言って会社を守れないと結局足元が弱くなります。

因子⑥

大切なことを守り続けるスキルが上の者にない。

 

パワハラ因子

いかがだったでしょうか?

因子① 上司全員にパワハラになりえる事柄を共有できていない。

因子② 声を上げづらい文化になっている。だから少しずつ暗黙の了解に変わっていく。

因子③ 謙虚な姿勢であるための指導、仕組みの整備がされていない。

因子④ ダメなものはダメと言える組織でない。

因子⑤ 相手を知るだけのコミュニケーション量がない。

因子⑥ 大切なことを守り続けるスキルが上の者にない。

この根本課題の解決の乗り出さないと、結果風通しが悪くなり、透明性がなくなり、パワハラが起こる続ける組織になってしまいます。

私はこれを職場のスラム化と呼んでいます。ただし目には見えないカオス状態です。

 

転職先は「スラム化」を経験していれば危険度大幅ダウン

今の会社の因子はよく考えてじっくりと探ってください。

当てはまるものが多いなら、今は表面化していなくても必ず何かのひずみが出ます

よく検討した結果、「この会社は変わりそうにないな」と感じたら転職という決定で大丈夫です。必ず問題は起こります

転職先を探すときには、会社がすでにこういった問題に気づいているかどうかが大事です。

“一定以上の人数になってから何年経っているか”を探って仮説を立てることもできます。社員が30人程度になってから5年経てば何らかのひずみが出てきます。しかしそこからまた5年程度かけてさらに悪化していき、一度大混乱が起きます。

ここを乗り越えて社長が解決に乗り出しているのなら、次第にパワハラはなくなっていきます。転職するときはそれがチェックできるからラッキーですね。

ポイント

転職先には過去に起こった問題などを聞いてみるといい。会社が若くいいことばかり言うなら逆に疑うこと。


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宮内 利亮

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