IT人材が2030年には79万人不足すると言われている。
しかし、人が必要なのは分かるが、元人事部長から見て「これではムリじゃないか」と思うこともたくさんある。
まだ業界として“伸び”についていけていない面とは?
人から遠ざかって人は増えない。
【IT人材】が不足している
IT人材が不足している。これはどう見ても間違いない事実ですね。
データによると2030年には79万人の人材が不足するといわれている業界です。
求人を見てもIT業界の求人ばかりで、そこにマッチする人材はなかなかいない現状。
将来に本当にそこまでの人数が必要なのかはさておき、元人事部長として現在の IT業界を見ていると「これでは人材の供給は間に合わないだろうな」と思うことがたくさんあります。
まだまだ伸び盛りで、これから日本全体を引っ張っていかなければいけない業界です。
人が流れてくるだけの環境を、新しい時代にどう作っていけるか。
ポイントは『人を知ること』ではないでしょうか。
元人事部長から見る「これじゃムリ」
「マネジメント」→離職理由
IT業界の転職事情を見ていて、一番「これは厳しいな」と思うことは“人材を見る人材が足りない”ということ。
つまり『マネジメント不足』です。
一番そのような環境に落ちているのは、成長が早すぎる企業です。
急激に人が必要になり、入社一年や二年でマネジメントに回らなければいけない人が出てくる。
その人たちは現場の仕事を学んでいたわけで、マネジメントについて学んでいなければ、お手本になる上司も見た事がありません。
結果、好き嫌いがモロに出てしまったり、「なんでそのぐらいできないの?」とか「だから言ったでしょ」などのワードが飛び交ったりする。
元人事部長から見て、この上司が“お粗末すぎる”環境ははっきり言ってマイナスでしかない。
むしろ上司不在にして、フラットなチーム制で仕事をさせた方がいいと思います。
よく営業などの世界の「体育会系の雰囲気がムリ」という人がいますが、それとほとんど変わらない環境になってしまっている会社があるんですね。
マネジメント不足が離職の原因として多すぎる。
「特性の偏り」→求職しない
上司のマネジメント不足は、特性の理解不足でもあります。
自分の感覚が当たり前だと思ってしまい、それを押し付けることはマネジメントでも何でもありません。ただの自己満足です。
しかしそこから抜け出るためには、「人の特性の地図」を手に入れないといけません。
人というのはどういった特性を持っているのか、自分と違う人は何が強みで何が弱みなのか。
人というものを知って初めて、正しい指示の出し方や伸ばし方が分かってくるんです。
特に成長途中だと、こういった“どんな人材に何が向いているのか”という整備が間に合っていません。
本来は、様々な特性を持つ人たちが同じ業界で働ける環境を作らないと人は増やせない。
だけどこれができていない状況ということです。
今現在私が見ていて思う課題は、「拡散的思考を持つ人材をどう活躍させるか」です。
どちらかと言うとロジカル思考やコツコツできる特性に合った求人が圧倒的に多い。
拡散思考人材にはそもそも「こっち方面の求人はナシ」と思われているんです。
「でもIT業界なんだからしょうがないでしょ」と思ったらそこで終わり。
日本人の特性はそこまでIT業界に偏っていないからです。
「様々な特性の人にどう働いてもらうか?」が課題。
DXならぬ、働き方トランスフォーメーションが必要なのかもしれませんね。
「キャリア」→自分軸であれるか
それと、現在IT業界の求人に多く見られるのが「使い捨て感」です。
IT業界からそんなつもりがなくても、実際に仕事を選ぶ人は「ここでずっと働いても自分のキャリアは形成されない」と思うことが多いんですね。
これはIT業界特有というわけではなくて、人材が不足している業界ではよく起こる負の連鎖です。
「やればやるほど売り上げが伸びる」という環境にあると、「とにかくテレアポできる人材を増やそう」ということでコールセンター要員を大量募集します。
このように完全にセグメント分けされ“やることが決まってしまっている求人”というのは、求職者にとってとても怖いものです。
ひたすら電話をかけ続ける、ひたすらパソコンに向かい続ける。
「ひたすら」という愚直な行為の中に『自分自身にとって成長があるのか』ということが大事なわけです。
もしも人の長期のキャリアを無視し、完全に会社都合で求人を出しているとしたら、それなりに採用に苦戦することは間違いありませんよね。
求人と人のリアルなキャリアをどのように統合していくかが課題。
スポンサーリンク
【IT業界】人が必要なら人を学ぶ
まとめて言うと『人を学ぶ』ことが、IT業界に人材を増やすための課題になるのではないでしょうか。
人にパフォーマンスを発揮して働いてもらうためにはマネジメントが必要です。
今後市場全体ではマネジメント人材はいらなくなってくると思いますが、成長途中のIT業界は少し違う。
業界全体が下降していくまでは、マネジメント人材は必要になってくるでしょう。
業界のバランスは変わり、今まで色んな所で働いていた人にIT業界に流れてきてもらわないといけないわけです。
すると当然、受け入れ体制が必要です。
『多様化する人材を受け入れる』働き方の工夫。
これは簡単ではなく本気で取り組んでも何年もかかることですが、すでに成熟企業すぎた他の業界から学べることはたくさんあるはずです。
そして結局、「使い捨てではない」と言い切れるぐらい、その業界で働く個人のキャリアを考えなければ人は増えないでしょう。
特にこれから個人の時代に入っていくと言われる中で、個人の目的と会社の目的が相反するものであったらうまくいくはずもありません。
この課題を乗り越えれば、市場に溢れる転職人材やIT業界に行きたいけど自分にはできないと思っている人たちにも希望の光を与えられるに違いありません。
一緒に勉強しましょう!
↓
オンラインサロン・メンバー募集中→『つくば親と子のキャリア教育アカデミー』