Uターンを希望する学生が5年ぶりに増加。逆にいえば、いままでずっと減り続けていたということですね。
あなたは地方で働きたい?
茨城に住みながら東京と地方でキャリアコンサルタントをしている僕が感じる、実際の違いとは何か?
地方には何が必要なのか?
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地方の就職はアツい?
「地元で働きたい」が増?
マイナビによると、Uターン就職を希望する学生が5年ぶりに増加(2.9%)したそうです。
2017年以来の増加。コロナによって多少増えたのかもしれませんが、年々減っていたということも事実ですね。
2014年には10%以上高かったようです。
僕は茨城に住んでいて、東京にも行き来しながら生活をしています。もちろん茨城が好きなわけですが、東京との差をかなり感じますよね。
だから東京で働きたい学生さんの気持ちも分かるし、地方で働きたい気持ちも両方分かります。
このせめぎ合いでこのような結果。
2014年卒 69.8%
2022年卒 57.8%
東京・地方。どちらにも魅力があるが、近年コロナでもない限りは年々減っていた。
どんなところに差を感じるかというと、ビジネスの真新しさです。
失業率はさほど変わらないので、地方も仕事がなくはない。最近コロナで仕事を失った人は、東京の方が多いですよね。
つまり、地方には魅力のある仕事が少ないということ。
魅力ある仕事には人が集中してしまうため競争率も上がってしまいますし、ナビにすら載らないことが多い。
だからナビで就活したら当然、東京の求人ばかりになってしまうという構造です。
そうしてビジネスや情報は東京に集中しているから新しいものも東京で発生し、チャンスが多く生まれる。
地方にいると、取り残された感があるんです。
今回ちょっと増えたのは、リモートワークが可能かもしれない!という期待かもしれません。
だから本質的には、地方で働きたい人はもっとたくさんいるはずだと思っています。条件さえ整えば!
リモートワークが目標に届かない
で、肝心のリモートワークですが、なかなか思い通りには運んでいません。
政府が7割リモートワークを目標にしたところ、2度目の緊急事態宣言では25.4%にとどまりました。
1回目は35.8%だったのに、さらに落ちてしまったんですね。
リモートワークへの移行が全然間に合っていない。
ここが7割行けば、かなり地方就職の熱は上がってくるはずですね。
でも全然届かない。コレもよ~く分かります。
僕は中小企業で人事部長をしていたわけですが、おそらくリモートに変えられるのは一部の従業員だけ。
事業形態と言うこともありますが、今回10%以上も落ちたのは別の要因でしょう。
日本の働き方が“メンバーシップ型”だからです。
新卒至上主義に代表されるように、一度入社したら長く勤めたいという終身雇用神話。
すると、実際同じ仕事を任せているわけもいかなくなり、同じ会社なのに様々な部門や仕事を経験します。
と、どうなるか?
評価が、仕事の実績に加え勤務態度などの信用をはかるものになるんです。
「やることだけやってくれればいい」とならないんですね。
自分の仕事が終わったら周りを手伝うような、家族的な社風が多い。
リモートだとこれが崩れ、やれ「あいつはずるい」やれ「こっちは大変」と始まってしまうわけです。
同じ給与テーブルで序列のような評価をされることも要因でしょう。
キャリアは長期で見る
今回は地方の働き方についてなので、リモートに関してはこのぐらいに。
面白いデータがあります。
2022年卒Uターン希望(寄り)
大学進学時 50.9%
就職活動時 57.8%
大学入学時よりも卒業時の時の方が地方で働きたい気持ちが強くなっている。
しかもこれ、今年だけじゃなくて毎年同じ傾向なんです。
そして社会人たちも、何年か東京で働いたら地元に戻りたくなったり、地元で働いていたらもう東京には行きたくなくなったりすることが多い。
キャリアを長期で見た時には、Uターンしたくなる人が圧倒的に多い。
今は東京で就職しようと考えている人も、何年かしたら地元に帰ろうとか、転職を考えた時にやっぱり思い直して地元に帰る。
となると、東京でないといけないから仕方なくまずは東京に就職すると取れますね。
茨城に住む僕としても、もっと地方にチャンスがいっぱい転がっていればいいのにと思います!
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茨城キャリコンが感じる地方の働き方
地方はホントのんびり
「地方って、実際どうなの?」と思っている方にまず伝えたいのはとにかくこの一言。
ホントのんびりしてるんですよ。
焦ってない余裕がある感じです。
東京で「打合せ」というと、大体1時間きっかりに終わらせないといけない。次から次に商談が入るからです。
それだけチャンスも多いから、数をこなすことが正解なんですね。
これが茨城となるとゆっくりです。
(もちろん企業内で大きな企業とのやり取りをするなら時間きっかりですが)
なんなら本題に入るまで30分かかることもあります。
東京のように次から次にチャンスが来るわけでもないですから、信頼を形成することが正解なんです。
東京は広く浅く。
地方は狭く深く。
簡単に言ってしまうなら、そんなイメージで大丈夫だと思います。
そう考えると、こういうことじゃないですか?
地方にはまだまだポテンシャルがある!
僕が言うのもなんですが、東京の方が働き者が多い!
このパワーを地方に持ってきたら、それはそれは未来が明るいんじゃないかと。
僕はのんびりが好きですが。
ITが地方に来れば
さて、近年魅力的な企業と言えば、IT企業が大多数を占めています。
いかにDXするかの勝負にもなってきているので、テクノロジーを使いこなせる企業は強いですね。
このIT企業がいかに地方に進出できるかで、地方の持続可能性は大いに変わってくるのではないでしょうか。
IT企業の地方進出がサステナビリティのカギ!?
でも、東京のIT企業が地方を相手に商売をするのではダメなんです。
IT企業自体が地方にあり、地方に税金を払い、地方の企業と手を組んで、地方に新しいものを生む必要があります。
魅力的な企業があることで地方に若者が留まり、中央への集中を防ぐ。
地域のポテンシャルが活かされ、地方が豊かになっていく。
その最初のキーマン(キー会社)として、IT企業は一番リモートに近く最適なのではないでしょうか。
だから地方もその受け入れとして、ワーケーション施設をつくったり安価なフリースペースを増やしたりして環境を整えていきたいですね。
新しさとの融合
地方に必要なのは、新しさとの融合です。
新しいものがないから、情報不足に陥ってしまうから、地方で働くことにリスクがあるんです。
せっかくの情報化社会ですから、なんとかリモートを活用して人の流れを分散させたいですね。
僕のような田舎育ちの人間は、一度は外に出て全体を見渡した方がいい。
だけどあまりみんなが都会に集中してしまうと、集中したところで競争が起きてしまいます。
ずっと都会でせめぎ合っているより、少し修行したら地方に出て行った方が、都会も地方も豊かになるのではと思います。
居たい場所で働くには、新しさを持ち込んで豊かにならないといけないのかもしれませんね。
あなたは何を地元に持ち帰りますか?