近年熱が高まり始めている『個別化教育』。
人の特性のプロ・キャリアのプロから見ると違和感たっぷり!
結局、古い評価基準でしか個別化できていない。
教え方の固定した教えるプロは、特定の特性の子にしかヒットしないんです。
それを知らず進む個別化はNG!
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それが個別化?
「習熟度」は個別のほんの一部
最近個別化への波が押し寄せてきて、これは素晴らしいことだな~と思います。
今までの一律の教育から抜け出すために絶対に必要ですよね。
しかし『個別化』とうたってはいても、実態がそうでない場合がほとんどです。
その代表的なものが「習熟度に合わせて」のような、勉強の進むスピードや学力に合わせるようなもの。
たしかに!処理速度に差はあると思います。
だけどそれは数ある特性のほんの一部の話であって、処理速度が結果として遅くなることには理由があるのに、その根っこに向き合ってない。
結局、学力を測ることから抜け出せてはいないんです。
ただ、無理もない話でもある。
学校では中学受験などで学力を振り分ける程度で精いっぱいだし、塾も個別指導にしたところで全員の先生が人の特性まで理解するのはコストがかかりすぎる。
マンツーマンだから良いわけでもない
そう。もう一つ言っておくと、「個別指導だからいい」も全く違います。
その先生は、人の特性を知っているだろうか?
僕は今まで人の特性を理解している塾講師や学校の先生を、学区内で見聞きしたことがありません。
ほとんどの先生が、“自分の尺度”もしくは“教えられたとおりの尺度”でしか教えられない。
これはもう、今のシステムでやっている以上仕方のない事なんです。
だから本当は、親が特性を理解して適切な先生をあてがったり、最新のテクノロジーを使った勉強法など、あらゆる可能性を探すことが個別化に繋がります。
例えば僕の子供の場合。
小学校で理科が好きでした。しかし、中学に上がって先生が変わったとたん急に嫌いになった。
なぜなら、その先生の言動が気に入らないから話が入ってこないんです。
これはウチの子が、人から学ぶことに価値を置く社交型特性を持つからです。
もしマンツーマンでその先生に教えられたら、余計ひどくなるということですね。
受験を目指す限り
なぜ今のシステムでは仕方のないことなのかと言うと、受験という関門が大きな理由です。
もっと根っこには人口増加によって根付いた終身雇用のシステムに合わせ教育が構築されていること。
学力によってランクを分け、それぞれのランクに合わせて大学を選べば、自動的に企業が判別しやすくなっていた。
この分け方では、人生100年時代と言われる個人の時代には全然足りないのです。
学力なんてほんの一部であって、もっと細分化して適材適所を極めて行かないと社会の持続可能性が失われる。
どこにストレスを感じ、どこならスイス思考が働くのか?
表現や主張をすることへの価値観はどのあたりに分布しているのか?
こんなことは全て無視して一律に教えているのが、今の社会全体のシステムです。
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人生100年に必要な教育
人の違いを知らないと
人生100年時代は、いかに個性を活かしてストレスのない領域で働くかが最も大切。
なぜなら、今までのような生産性ではもたないからです。
みんなが好きなことを仕事にしているような社会にならないと、要は全体の仕事量が増えないんです。
そのための教育は、『やりたいことを持つ力』に向くべきだと思っています。
やりたいことを見いだすためには、個人が特性に合った働き方をすること。
趣味の領域のことをやっていても、多くの人と協働するのか一人でコツコツ作業するのかで全く仕事の楽しさが違ってきますよね。
だから、能力・興味・価値観の一番根っこにある特性を見つけ出し、特性に自信を持つことが一番近道なんです。
特性の発見は必須
はっきり言って、ここが分からないと話になりません。
特性を理解することは、人との違いを知ることです。
優劣ではなく違いです。
ここが本当にみんな分かっていない。
弱みを克服している時間が惜しいんです。
凸凹の凹を利用する方法があるのならそのまま使えばいい。
わざわざ使える形をなくしてしまうストレスは無駄というより邪魔なんです。
人との違いを知り、どこで活かされるのかを知ると、誰もが特性的ブルーオーシャンで働ける可能性がものすごく高いんですね。
特性によって教え方を変える
学ぶ方法も同じです。
小学校・中学校での大きな方針の一つとして、“自分なりの学習方法を知る”ことを目指すといい。
長くなるので特性についてここでは詳しく書きませんが、特性に合わせて勉強法を“自分で考える”ことです。
(「思考特性」などでブログ内検索してみてください。)
まだ小さいうちは特性が変化しやすい時期でもあるので、とにかく“邪魔しない”ことが大切です。
自然な子供の特性をしっかり観察すること。
そして様々な機会を与えることです。特に遊びの中で“身に付ける方法”を試行錯誤していきます。
ある程度特徴が表出してくるのが小学校高学年あたり。
学校で仲の良い友達グループなどが出来始めたら、特性ごとに分かれ始めている証拠です。
(仲がいいからと言ってそ、その子と同じ特性で括らないでください)
本当に個別化をするならば、先生を変える、テキストを変える、体験を変える、実践を積む。
体系的捉え方なのか、人的捉え方なのか、積み上げ式捉え方なのか、単純化なのか、繋がり型なのか。
ノートは良いのか悪いのか、線がある方がいいのか無い方がいいのか、真ん中から書くのか上から書くのか。
あれもこれもあれもこれも・・・
これが個別化であり、先生のやりやすいやり方を一対一で教えるのが個別化ではありません。
そして何が合っているか子供自身が考えて答えを見つけること。
(親の言う正解ではなく、自分の出した答え)
学校という仕組みはほんの一部のシステムであって、決して常識ではないんだということを認識させたいですね。
特性の理解、自分を知る力をつけてあげよう!
キャリアコンサルティング的にいえば、『自己理解』です。
キャリア形成をする上で一番最初に必ずやらないといけないことです。
実はこの自己理解が、日本人は本当に苦手。
教育システムの中でこの機会がなかったから、転職の時に慌ててやっているという現状です。
これは絶対に変えないといけないと思っています。
新しい力
最後に、個別化に加えて今後の社会で大切になる『力』について、さわりだけ書いておきます。
- 自己理解・自己表現
- 答えを持つ
- アクティブラーニング
- キャリアプランニング
それぞれの最後に「~力」とつけると分かりやすいかもしれません。
言うまでもなく、『自己理解』することは最も大切です。
そしてそれを『表現』することも大切になってきます。
個人の時代と言うことは、自分がどんな人間なのかを世の中に知ってもらわないといけないということです
会社が判断してくれる時代ではありません。
『答えを持つ』とは、自分なりの考えややりたいことを見いだす力です。
誰かの言った誰かの考えや、一般的な正解の話ではなく、自分はどうなのか、何がしたいのか。
これも表現する必要が出てきますね。
『アクティブラーニング』は、自分から率先して「学びたい!」と思える姿勢です。
これからも変化のスピードは加速していきます。学び続けていかないといけない時代です。
「やりたいことが見つからない」と嘆くことは簡単ですが、そう言っている間にアクティブラーニングする人とは大きな差をつけられています。
つまり、学びたいと思えることそのものが能力差です。
そして学びたいと思えるものをつかむために、やはり自己理解・特性理解が必要になってきます。
『キャリアプランニング』は、キャリアを柔軟に形成していける力です。
実は「プラン」という言葉が好きではないんですが、一般的なのでそう言っておきます。
計画することが大事なわけではないんです。むしろ計画して安心してはいけない。
興味や専門分野にアンテナを立て、自分のキャリアに出来事や人を呼び込む力だと思っていいでしょう。
そのためには発信が必要です。「自分はこれがしたい!」と言えること。
会社に資源を求めず、自分に資源を手繰り寄せる人であってほしいです。
20年後、30年後、きっと想像もつかない社会になっているでしょう。
そんな時代にキャリアを形成する子供を育てるため、今までのやり方では厳しいことは明らか。
すべての根っこには『特性の理解』がある。
逆にそこができれば、自分らしく働ける、歴史に類を見ない素晴らしい時代がやってくるということです。