転職市場はコロナの影響で冷え込み、様々な問題が浮き彫りになってきました。
今、一体どんな構造になっているのか?
社会全体が良くなるために個人がクリアすべき問題とは?
問題が解決されない要因の多くは『仕事理解』と『自己理解』の不足から来ています。
スポンサーリンク
『仕事理解不足』が原因の問題点
仕事内容への偏見
『仕事理解』というのは、一言で言っても本当に多岐にわたります。
仕事理解
職業に必要な能力、得られる経験・知識。
どのような職業・業界が存在するのか。
社会全体、経済、雇用などの状況の把握。
働き方、仕事の意義・意味。
転職時に問題になるのが、これらの理解不足による仕事への偏見です。
例えば、「どうしてもIT業界に行きたい。外の仕事は嫌だ。」など。
自分の能力を無視し、将来性があるところに所属したいと思ってしまいます。
しかし現実、職人などの手に職付く仕事は今や引く手あまたで、個人で自由に仕事を受けて働いている人も多い。
しかもITよりも高齢者が活躍していますよね。
本当にその仕事に将来性があって、他の仕事に将来性がないのか?
長く働けるのは、本当か?
その経験が将来役に立つのは本当か?
僕の見ている所、深く考えられている人はそんなにいません。
どちらかというと、やりたい仕事に行きたいからその理由を集めているように見えます。
それが本当にやりたいことならいいんです。
だけど同時に自己理解も不足すると、「本当にやりたかったのはこうじゃなかったんだ」と後になって気づくことになります。
本当に自分が求めている仕事は、今知らない仕事の中にあるかもしれない。
その理解を阻害する偏見は捨てた方がいいですね。
働き方の視野が狭くなる
「土日に休める仕事に就きたい。」と思っている人も多いですね。
これからの時代、この考え方をいかに崩していくかは日本社会の課題ではないでしょうか。
今や市役所でも土日営業しています。
考えてみれば、個人からすれば土日にやってくれない市役所なんて本末転倒だと思いませんか?
仕事が休みでないと市役所に行けない。
主婦しか行けない。
それなのに共働きを推奨する。
矛盾し過ぎていますね。
社会のニーズと希望の働き方にギャップがある。
核家族化した社会なので、土日の家庭の問題は大きくのしかかっています。
共働きをしなければいけないので、幼稚園や学校が課題になっているという家庭もあるでしょう。
社会はここを解決しようとあの手この手を画策しています。
だけど、個人は土日休みがいい。
これから個人の時代、会社に頼れない時代がやってくる中で、土日限定というのは“会社に頼り切る思考”に見えます。
僕は今、フリーランスでほとんど土日に仕事は入れません。
自分で働き方を決められるからです。
それでも必要な時は迷いなく仕事を入れます。
面談など、土日でないとできない方もいますから。
働き方は個人の自由なんですが、これだけは言えると思います。
正社員になろうとしている中で「土日は絶対働きたくない」と思っている人は自由にはなれない。
あまりにプライベートを仕事と区別しようとする考え方には危機感を感じています。
「土日に休まないと家庭を守れない」というパラダイムを変えていくことが、日本の課題ですね。
『自己理解不足』が原因の問題点
迷惑をかけている意識が薄い
キャリア理論の中で最も重要な『自己理解』。
「自覚」ともいえる理解が不足しているとどうなるでしょう。
こんな人をよく見ます。
周囲に迷惑をかけていることを無視し、やがて孤立していく。
転職活動で言えば、例えば面接。
ドタキャンは問題外ですが、急なキャンセルをメールやLINE一言で終らせる。
送ったら返答も無視し、「送ったから終わり」で片づける。
面接官がその人個人のために無駄にした時間がどんなに貴重なものだったか想像出来ているなら、そんなことで終わりには出来ないはずなんです。
これに怒り心頭の採用担当者を本当によく見ています。
みなさん立派な社会人なので表立って問題にはしませんが、採用担当がひねくれていくのはだいたいこういう応募者の心無い行動が原因です。(笑)
他の仕事を入れず面接の予定をするということは、それだけ売上損失をしているんです。
面接にもキャンセル料があるべきだと思いませんか?
普通に考えて、それが当たり前ですよね。
また、例えば知り合いが紹介してくれた会社を簡単にキャンセルしたら、本人ではなく知り合いの方に被害が及びます。
せっかくの好意で紹介してくれたのに、踏みにじるような行為。
もう二度と紹介はしてくれないだろうし、信頼関係もなくなります。
たった一言。
持続可能な社会人であるためには、誠意という分かりづらい言葉ではなく「自分が一体何をしたのかの自覚」が必要です。
志望動機が言えない
自分が何をしたいのか我分からないということは、「なぜこの会社に応募しているのか」が分からないことになります。
面接で聞かれてもありきたりな事しか言えず、“ホントかよ…”と思われて落ちてしまう。
志望動機を作ることに苦労している人は多いと思いますが、まず前提として『自己理解』が必要になるんですね。
志望動機への考え方は、応募者と企業の間に大きなギャップがあります。
応募者にとっては何十社の中の一つ。
企業にとって雇用は特大のリスク。
企業にとっては、人ひとりの人生に責任を持たないといけない大きなリスクを伴っています。
しかも生涯賃金が2億円なら、2億円の長期投資です。
その投資に見合うだけのことをしてくれる人なのか?
そう考えると、どれだけ自社に居る理由があるのかを知れないと採用なんて出来ませんよね。
応募者は1社1社の動機を考えている余裕はありません。
だけど、そもそも「自分は何がしたいか」が分かっていれば、「志望動機をつくる」なんておかしな話です。
もう理由・動機はあるわけですから、面接にぶっつけ本番で行けばいいわけです。
自己理解の深さは、このように面接結果にも影響してきます。
主体的キャリアを築けない
なにより、主体的に自分のキャリアを歩むことが出来ません。
『仕事理解』と『自己理解』がないと、自分の本当に望むキャリアは築けない。
全体で何があるのか分からない。
自分は何者なのか分からない。
それは、地図もなく何があるのかないのかも分からない海に、どんな大きさでどんな形の船なのか分からずに漕ぎ出すようなものです。
社会が求めていることにも周囲に迷惑をかけていることにも気づかず、ただ当てもなく漕ぎ続けるわけにはいきません。
流されるだけの人生を送りたい人はそういないはずです。
主体的にキャリアを選び取るためには、仕事と自分を深く理解すること。
これは人間的成長そのものとも言えますね。