転職したいけど、どのように仕事選びをすればいいか迷っている人は多い。
『興味』はこっちにあるけれど、『現実』はそうも言っていられない。
キャリアコンサルタントから見る、長期キャリアの考え方とは?
興味も現実も、どちらも向き合うことが大切です。
【転職したい】仕事選びに迷う理由
『興味』と『現実』の差
転職したいけど仕事選びに迷っている人の中で一番多い悩み。
それは、『興味』の方向に行くか『現実』の方向に行くかです。
特に20代後半や30歳前後では、今後ずっと続けていく仕事を選びたいという気持ちが強く出てきます。
今までは興味の湧くままに選んできたけど、今度からはそうもいかないのではないか…と。
本当は興味があるのはこっちの方。
でもそれが厳しい道なのは分かっている。
何度か面接にもチャレンジしてみたけど、やはり上手くいかなかった。
やっぱり、今までの経験を活かして就職した方がいいのかな。
冷静に考えて、将来伸びる仕事もあっちなんだよな…。
このように、"考えてみればあっちの方がいいのに"どうしてもモヤモヤしてしまう状態で転職活動をする。
『現実』的な方面の仕事で内定が出ても、「これでよかったんだよな…」と自分を納得させて就職する。
『興味』と『現実』の差に悩む。
どちらかでないといけないという前提に囚われてしまい、もう自分も若くないという勘違いもしているからでしょう。
はじめに大切なことを書きます。
今だけ見ていたら、興味と現実は交わらない。
自分をとりまく状況を今だけで捉えるのではなく、40代50代と続くキャリアを想像し、他の人はどうかも見ていく。
すると、キレイにモヤモヤが晴れてしまうことがあるんです。
若いほど選択肢が多い
若いということはそれだけでとても価値がある事なんですが、それだけに悩みは多くなります。
若い人にはできることがまだ少なく、可能性は大いに広がっているからです。
では"若い"とは何歳ぐらいまでの事を言うのか?
多くの20代の方は、『30歳まで』と思うかもしれません。
確かに、求人が減るのは確かです。
しかし、私たちキャリアコンサルタントがキャリアを考える上で30歳というのはあまりに若い。
人生100年時代だとしたら、その先70年。
何の変化もなく過ごせると思いますか?
それはムリな話です。
だから多くの場合、自分の社会的役割を確立できるのは早くても40代になるでしょう。
若いうちは可能性が残されているから、選択肢が多すぎる。
若い人が「自分ももう若くない」と勘違いしている。
30歳で経験できる仕事は、どんなに長くてもせいぜい10年未満。
しかもその中でずっと同じことを続けてきた人なんてまずいないのではないでしょうか。
多くの人が思っているほど、自分の可能性は限定されていない。
40歳からでも、新しいことを初めて成功する人だっているんです。
経験を経て強くなる悩み
「営業で3年やってきた」とか「製造業で10年」などの経験があるのであれば、その道なら少しは自信があるでしょう。
「これなら出来る!」と、自分の『現実』の中に入っている。
だから選択肢として選びやすく、迷いは減ってきます。
しかし、これが『興味』の方向と違っていることで悩みが強くなります。
"できること"が『興味』の中に入っていない。『現実』と『興味』がリンクしていない。
仕事に対する価値観を『キャリアアンカー』と言いますが、これは実際に働くまではなかなか形成されません。
つまり最初は誰しも"やってみないと分からない"状態です。
だからいきなり興味の向く方向で働くことは難しい。
仕事をする前と後では、『興味』の修正が起きる可能性が高い。
「思っていた仕事と違った」なんてことは、実際にやったことがないんだから当然とも言えるでしょう。
最初の就職で失敗したからと言って、「あと1回や2回で決めないと」と思っても難しいんですよね。
少しの経験では悩みは深くなる。
他の可能性を検討していないからです。
"色んな方面での経験"が必要なわけです。
キャリアを歩む中、変わる自分の状況
"やりたいこと"を無視すると40代で悩む!?
キャリアを歩んでいくと、自分をとりまく環境は変わっていく。
30代ではキャリアは確立されない。
だから、今だけに捉われず長期のキャリアを見据えていきたいですね。
かといって、的確で綿密な『キャリアプラン』が必要なわけではありません。
一番僕がお伝えしたいのは、最大のキャリアの転換期である40~45歳ぐらいに起きることです。
キャリアを考える上で最も重要な『人生半ばの過渡期』を頭に入れながら仕事をする。
人生半ばの過渡期とは、「本当の自分は何がしたいんだろう?」と改めて"真の自分"と向き合う時期です。
安定した仕事に就いていのに、突然脱サラした人などはいませんか?
急に今までのキャリアを捨てて、思うままに動き出す人を見たことがありませんか?
では、逆はどうでしょう。
やりたいことを我慢しながら、愚痴を言い続けながら働き続ける人はいませんか?
思い切った決断が出来ず、ずるずると過ごして"時すでに遅し"になってしまった人は?
そして『人生半ばの過渡期』でしっかり決断の出来なかった場合、50代でまた危機が訪れる可能性が高い。
だからなるべく若いうちから、「そんな時期が来るんだ」ということを信じて欲しいんです。
20代は『興味』の発見が優先
だとしたら、40歳に向けて20代で出来ることは色んな経験をしてみること。
20代のうちに『興味』がどこにあるのかを知ることが大切です。
だから、20代で『興味』と『現実』の違いが分かっているなら大成功と言えますね。
少し気を付けることは、仕事を深堀りすることです。
スポーツや遊びと一緒です。
ルールを知り、奥の深さを知り、自分も出来るようになってからが本当の楽しみを味わえる。
「これは興味」「これは嫌だ」と判別が出来るまで行動し、仕事について考える。
ルールも分かっていないうちからすぐに諦めると、せっかく自分を知るチャンスだったかもしれないものを棒に振ってしまいます。
一番いいのは、その道を天職と思って働いている人に仕事のやりがいについて聞くことです。
それに反感を覚えなければ、あなたの興味に入る可能性は高いですね。
40代までに『興味』を『現実』に変える努力を
そして、30代では経験を深めましょう。
この経験は、仕事だけでなくていいんです。
将来やりたい『興味』に近づくために出来る『学び』があるはずです。
『人生半ばの過渡期』に向かって、30代で大切なことは仕事を安定させることではありません。
その安定は一時的であり、また動き出したくなる時期が来ます。
30代で大切なのは、学ぶこと。
20代の経験を振り返り、その情報をきっかけに興味の方向へ歩みだす。
目指す所は『興味』と『現実』の統合です。
資格の勉強なら、10年も要りません。
何か実績を出したいなら、今すぐやってみれば2~3年後には何かしら見えてくるでしょう。
『興味』を諦める時期は、思ったよりも遠くにあります。
『興味』に気付いたら『現実』に変える努力をすることが何より大切なんですね。
もしくは、経済的な余裕を確保することです。
2~3年収入がなくなっても何とかなるなら、人生半ばの過渡期が訪れても恐れずチャレンジできるでしょう。
40歳あたりでこんな人生の転換期があるなんて、学校では教えてくれませんよね。
だからみんな悩むんです。
でも、分かってしまえば簡単。
キャリアは長期目線でしかとらえられないものなんです。