人材を求める企業と転職者の間には、両者の期待に“ギャップ”があることが多いです。
『即戦力』として期待されているのはどういうものなのか?
企業に期待しているばかりでは、自己中心的な転職活動になってしまっているかも!?
ギャップを埋める努力とは?
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転職者に企業が求めるもの
「新卒」ではないということ
まず、「転職者」に企業が求めるものはなんでしょうか。
転職活動をするのなら、相手を知ることが第一です。
僕も採用活動を10年以上やってきましたが、「新卒採用」と「中途採用」は分けて取り組んでいました。
それは、“ベツモノ”だからです。
『中途は新卒ではない』
この前提はとても大切です。
「新卒」に求めるものと「中途」に求めるものは違う。
多くの場合新卒に求めるのは、ポテンシャルと素直さでしょう。
まっさらな価値観を自社の色に染まってもらうことで、理念や思いに共感した人材を育て上げることを期待しています。
教育を長くしっかりやることが前提なんですね。
では中途はどうでしょう?
もちろん理念に共感はして欲しいですが、その前の前提としていることがあります。
面倒な教育を飛ばしてすぐに働き始めてほしい。
ストレス耐性や社会での柔軟な対応をすでに身に付けていることを期待されています。
“耐えうる”かどうか
中でも選考などで非常に重視している点があります。
それは、「この人は自社の仕事に耐えうるだろうか!?」ということ。
すぐに値を上げないだろうか?
口だけじゃないだろうか?
だから実績が気になるし、過去にしてきた経験が気になるんですね。
ベンチャーでもなければ、仕事の流れは決まっているので、そこにハマって売り上げを上げてくれる人が欲しいという会社がほとんどです。
仕事に耐えてさえくれれば、人件費分ぐらいは稼いでくれる。
「ウチの仕事をちゃんとやってくれるか」をチェックし、すでに仕事に耐えうる力を持っている人を採用する。
教育の必要のない『即戦力』が欲しい。
特に第二新卒や既卒で転職をする場合、新卒と同じような待遇を期待する転職者が多いです。
でも、一括採用でないということは、計画的・効率的に教育が出来ないということです。
新卒と同じ教育を期待するのは見当違いなわけですね。
だから、「今度は教育のしっかりしている会社に入りたい」とか
「研修が充実していて成長できそうだから」ということを志望動機で話したりするのはちょっと違います。
“自分がしてほしいこと”をいくらアピールしても、ただギャップが深まるだけです。
それよりは、「頑張ります!」「出来ます!」「経験があって実績を出すことが可能です!」ということを伝えて欲しいものです。
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あなたの『即戦力』をアピール出来てる?
転職先でも使える力は?
転職者と企業のギャップは、「して欲しい」の方向によって生まれます。
志望動機を考えようとすると、どうしても企業の魅力をアピールしてしまう。
だけどそれは転職者がして欲しいことであって、企業がしてほしいことではない。
企業の魅力を伝えるのは悪いことではありませんが、「自分が会社にどんな貢献を出来るか」を伝えるのを忘れてはいけません。
『会社がして欲しいこと』を自分が出来ることをアピールする。
『転職先でも使える力』を言語化して伝えることが基本中の基本。
では、『転職先でも使える力』というのは何でしょうか。
例えば接客業からIT業界の営業に転職するとしましょう。
「ポップ作成でフォトショップを使っていました」というアピールが通用するでしょうか?
確かに、ITに近い気はします。
だけど専門の会社ににわか仕込みの技術は通用しません。
「そんなものはちょっと勉強すれば誰でも出来るでしょ。しかも営業よ?」となります。
だけど、「接客で実績を上げてきた」は通用します。
「ほうほう、コミュニケーション能力はあるということか。どれ、チェックしてみよう」となるわけですね。
ポイント
小手先の技術は通用しないことが多い。
社会人基礎力と言われるような、『根本的な能力』の方が転職先で使える。
経験を“掘り下げる”
企業の採用基準として、細かい表面的な経験はあまり重視しません。
- コミュニケーション能力
- 主体性(他責でないか)
- 積極性
というような、大きな括りを基準にしていることがほとんどです。
言葉だけで「私はコミュニケーション能力があります。」と言ったうえで、を伝わるような経験をアピールする。
表面上の経験が、自分のどんな根本的能力を表しているのかが大切。
経験を掘り下げる。
「接客をしてきました。」と言っても色々あるでしょう。
『コミュニケーション能力』が活かされたエピソードはありませんか?
気の利いたサービスを提供し、『気づき力』を発揮した具体的事実は?
クレームがあっても毎日休まず出来た『前向きさ』はどうでしょう?
何も裏付けとなる事実情報がない場合、企業は「接客をしてきた」という事実だけで想像するしかありません。
きっと掘り下げれば、もっとあなた自身が伝えたい『自分の汎用的能力』が出てくるはずです。
育ててもらうことを期待しない
再度書きますが、中途採用で一番ギャップを生むのが“転職者の企業への期待”です。
自分自身は「改めて成長したい」と思っているでしょう。
成長は止めてはいけないし、良いことのように聞こえます。
だけど、企業は「成長してから来てほしい」んです。
「新卒じゃないんだから、あんまり甘えないでよ。」ということですね。
1社でも経験をして転職するのなら、甘えは捨てて会社に貢献できる方法を考えましょう。
何の成長も遂げていない中途を採用するメリットは企業にはない。
「御社の研修制度が魅力的で、私もそのような成長できる環境に身を置きたいと思いました。」
確かにそうだとしても、選考で言うべきことではない。
面接官なら、「あなたにはメリットあるかもしれないけど、うちにはメリットないんじゃないの?」と思います。
“もらう”方ではなく“あげる”方を意識して選考に臨みましょう。
特に、1年足らずで最初の会社を辞めて転職してきた人がこんなことを言ったら、人事としては信用するわけにはいかないんです。
もし早期退職で転職をするのなら、とにかく「甘えを捨てています」ということを伝えることです。
1年足らずの経験を深堀りしようとしても無理がある。
だから宣言、「コミット」する。
「迷惑はかけません。勝手に成長して見せます。」
「必ず役に立ちます。」
これがギャップを埋めようとする姿勢です。
育ててもらえることが当たり前だと思わず、新しい環境に適応するための自分の汎用的能力を見つけ出しましょう。
あなたは企業にとっての『即戦力』になっていますか?