先日また、会社を辞める若者が身近に出た。
- お局さんの影響で将来が見えなくなった若者。
- 給料が増える見込みがなく、将来が不安になった若者。
こんなにも将来が不透明な時代の背景には、
「キャリア教育不足」があるという考えに至った。
元人事部長として見ていた問題と、会社を抜けてから学び気づいたことが繋がる。
企業がキャリアについて学ぶ必要がある。
この記事は
- キャリア教育不足で起こる問題
- 日本が向かっていく未来の社会
- 会社がキャリア教育を重視すべき理由
「まだあんたには無理!」の問題
先日、ある若者が“自信を無くして”会社を辞めるという話を聞きました。
何があったのかというと
先輩のポジションに自分が入るために引継ぎをしていたところ、先輩から重箱の隅をつつくような怒られ方をする。
しまいには「まだあんたには無理だね」と言われ、周りにも言いふらされたそうな。
ううん、たしかにこれはキツイですね。
そして、
どこの職場にもありがちで、ありふれた構造です。
先輩は、今まで自分がやってきた仕事を大事にしている。
やり方も自分が正しいと思ってやっていることだし、下手にいじくりまわされたくない。
そして先輩自信が新しい仕事に就くことを不安に思っている。
心のどこかで
「後輩が出来ないから、まだ自分がやるしかない」と思いたい自分がいるんですね。
自分の仕事・ポジションを守りたい構造がある。
後輩のことを“仕事ができない人”に仕立て上げる先輩。
しかしこれは、会社から見たらマイナス。
生産性の欠片もない行為です。
だけど先輩が上司に「あいつ仕事できないんですよ!こんなこともあんなこともできないんで、キツイですよ。」と言ったら、上司も少しは耳を貸さないといけなくなりますね。
できる上司ならそれでも先輩を指導してやらせるが、
“この構造を知らない”上司だったら「そうなの?」となる。
もっと悪いのは上司不在なのに何のルールもなく、現場任せの場合。
不のスパイラルが続きます。
「構造を知ること」
すなわち、人のキャリアにまつわる問題や要因を知ることです。
上司の無知で部下の将来はふさがれる。
しかしこれは上司のせいと言うわけにもいきません。
ポイント
日本全国、キャリア教育が不足している。
・生産性を下げる思考
・将来に不安を抱く構造
・自己理解の仕方
・仕事理解の仕方
これを共通認識にしないといけない。
キャリア教育ネイティブは2036年から
政府も手をこまねいているわけではありません。
厚生労働省の令和元年「労働経済白書」では、さすがの問題点を指摘している。
さらに、文部科学省では「新たな学習指導要領」が出され
2020年より、幼児期からの「キャリア教育」がスタートする。
知らない人も多いのではないでしょうか?
恥ずかしながら、僕は子供がいなければ学校で“プログラミング授業”が始まったことを知らなかったと思います。
すでに日本では多くの企業から課題を抽出して統計を出し、本質的な問題は何なのか議論を重ねている。
そして「キャリア教育不足」を危機とし、根本的な見直しをした。
ということです。
そしてイチからキャリア教育された子供たちが大学まで行ったとして、世に出るまであと16年。
キャリア教育ネイティブの就職が2036年。
さらに社会に浸透するのに少なくとも10年はかかるんじゃないでしょうか。
教育の不足を認識し、変化対応
とういうことは、企業内ではその新しい人材が世に出るまで待っているわけにはいかない。
何もしないままだと、この問題はより顕著になる。
淘汰の時代、16年もあれば会社は簡単に潰れる。変化なくして生き残れない。
さらに問題を解決しようと動いた企業は人材を抱え、二極化していく。
二極化は、情報強者と情報弱者の現れです。
つまらない会社はつまらないまま。
いきいき働ける会社にみんな流れていく。
- 上司の指導力不足
- お局さんの台頭
- 将来の不安
- 仕事の意義が分からない
これを「キャリア教育不足だ!」と気づくかどうかです。
「上司のせいだ」
「お局さんのせいだ」
「本人が悪い」
「気合が足りない」
と言っていると社会から取り残されてしまう。
だけど、
「これは自己理解不足が原因だな」
「職業理解が不足している」
「問題構造があるから、新たな共通認識が必要だ」
なんて考える上司や社長は一握りです。
まずは企業が「足りていない」ことを知り、変化する意思が必要です。
まずは会社が教育を受けるべき
2020年から始まる「キャリア教育」は、学校で行われるもの。
社会で求められる基本的指針は「個人が自分のキャリア形成に責任を持つ」ことです。
(そのため、このブログでも「自分のキャリアは自分で責任持たにゃいかんですよ~」と書き続けています。)
企業が取り残される構造になっている。
企業にとって「キャリア教育不足」はデメリットしかない。
- いつまでも同給料で働けるわけがない。
- 先が見えない会社にいるわけがない。
- 何も知らない上司のもとで働きたいわけがない。
- 社員にメリットがないのにやるわけがない。
今までの延長線上で考えず、時代背景をもとに自社を客観的に見る力が必要だと強く思います。
僕自身が人事部長として会社のことを深く考え、辞めたあとに学んだからこそ思います。
・人間にとってキャリアとは何なのか
・個人や職場の問題はどの構造によるものなのか
・自己理解や仕事理解はどうやって深めればいいのか
・企業が持つべき外部との協力体制はどんなものか
・管理職や上司として必要な知識は何なのか
・従業員の不安や職場の非活性化の要因は何なのか
分かっているつもりにならず、正しい理論をもとに今一度考え直す必要があるんじゃないかと思います。
「キャリア形成」について足りないものが多すぎる現代日本の企業内で、
「キャリア教育」は大きな可能性を示してくれるものです。