絵画の歴史を見ると、周辺の環境に大きく翻弄された画家たちの苦労を見ることができる。
過去には大きな変化がゆっくりと訪れていたが、これからはより早く変化が連続して起こる時代。
画家たちはどのように変化を乗り越えてきたのか?そのためには何が必要?
画家の書き方・稼ぎ方
写真に奪われ常識を壊す
絵画の歴史は面白い。
といっても、それは今だから言えることで、当時は「もうダメだ…」という絶望を伴ったものだろう。
画家にとってそれは、おそらくコロナの比ではなく、まさに生きる方法を失うぐらいの危機だったのではないか。
でも、大きな危機だからこそ改革を起こしてきた画家たちの歴史は、やはり面白い。
例えば写真の登場。
それまでの絵画の世界は全て“目で見たままに写し取るリアリティ”重視でした。
それだと写真にはかなわないのは明らかですね。
そこで画家たちは考えたわけです。
「リアリティはそれだけだろうか?」
「本当に目に映ったものだけが真実すべてと言えるだろうか?」
そして“なんだかヘタに見えるけど芸術的価値が高い絵画”が生まれていくわけです。
写真の登場が、「目で見たままに写し取ることがリアル」という常識を壊した。
一度常識が壊れてからは、まさに常識を壊すことそのものが価値のように“独創的”な『ものの見方』で絵を描く人達が生まれ続けています。
宗教に淘汰され構造が変わる
もう一つ例を挙げると、宗教の変化によって淘汰されてしまった歴史です。
抗いようがない現実です。
(法律が変わってしまうような現象に近いですね。)
16世紀に起こった宗教改革でプロテスタントが登場。
これが偶像崇拝を否定するものだったそうです。
それまで教会から依頼を受けて「宗教画」を書くことが仕事だった画家たちは、一気に職を失います。
またどうしようもない危機が訪れる。
そして、その時に“市民に絵画を売る”という発想が生まれました。
さらに市民に売るために描くものを考えた結果、「風景画」や「静物画」が生まれたそうです。
訪れた危機が、“違う稼ぎ方”と“違う作り方”を生んだ。
どうでしょう?
現代でも参考になると思いませんか?
知恵を絞れば、危機を乗り越える方法は必ずどこかにある。
もっといえば、無理やり生きる方法を創り出すこともできる。
そしてそれが新しい価値を生むことがある。
諦めずに考え抜く姿勢が大切
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変化の時代に必要なもの
簡単に起こる改革の連続
これまではこのような改革がとてもゆっくりと起こってきました。
しかし、これからはそのスピードは何倍にも早くなり、“変化が起こり続ける”時代になっていきます。
でもこれは、絶望ではありません。
確かに昔に起こった歴史的革命は、大きな痛みを伴ったかもしれません。
それは、“変化に慣れていなかった”からです。
常識を壊すことが苦手だったし、環境が整っていなかったからです。
これからを生きる新時代の人間は違う。
常識を壊すことこそが日常になり、変化に対応するための環境は整っている。
変化し続けるもっとも大きな要因は、“テクノロジーの進化”です。
テクノロジーの進化は変化をもたらすだけではなく、変化に対応する術ももたらしてくれています。
“改革可能”な精神が日常となった人間は、かつて画家たちが常識を壊し続けたように変化を柔軟に受け入れ、また積極的に変化を起こしていくでしょう。
アーティスティックな社会人たちの世の中だと思います。
そしてこのように常にアーティスティックであり、常識を壊す力が『考え抜く力』です。
「クリティカルシンキング」とも言うかもしれませんが、物事を常識のまま受け取らず、健全に批判しながら自分の中での真実を追求し、自分なりの答えを見つけ出す力です。
常識を壊す=本質『点』に立ち返り考える力
画家たちが持ったような独創的な『ものの見方』は、危機の中から生まれました。
きっと一生懸命自分と向き合い、問い続け、苦しい中やっとの思いで見つけ出した答えです。
だからこそ、自分なりの他に類を見ない考え方が生まれたんですね。
これは画家だからできたのではなく、人には誰にでも備わっている力だと思います。
ただ違うのは環境。
「もうどうしようもない!」という危機があって初めて、画家たちはブレイクスルーを起こせたんですね。
だからこの到達“点”は、もともとの位置より深い。
危機によって“今までよりも深く考えること”で、より本質に近づく。
そこから生んだ自分なりの答えだから、常識に囚われることがない。
この本質と言える“点”の位置は、個人ごとに様々なはずです。
「目は正面から見たらこの形じゃないか!一方向から見たままに描かなくていいじゃないか!」
という点にたどり着けばピカソのような絵ができる。
どこに正解がある訳ではなく、“自分なりの答えを見つける”ことに価値があるんです。
それが『価値の創造』になるからです。
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