現代社会では、若くして役職に就くことが増えてきました。
でも人間的な成長はどうしても追い付かず「部下が信頼してくれない」とか「部下が動いてくれない」という悩みを持った上司が多い。
自分の実力が足りないから?
いいえ、もっと別の経験が足りないかも。
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「上司なのに」社会的発達の遅れ!?
若くして人をまとめる苦労
現代社会では、若くして上司を務めないといけないことが多くあります。
これ、思った以上にとても大変。
何も考えずにできるならいいですが、「部下からどう見られているんだろう?」と気にする人にとっては特につらいものです。
人間には社会的な発達段階というものがあります。
若くして上司になるというのは、まだ未発達なのに部下のことを考えないといけないということになります。
でも会社が伸びてくればどうしても自分の番が来て、自信がなくてもやらないといけないこともあるでしょう。
若くして人をまとめるのは、とてもストレスフル。
でも最初にひとつ言えることは、“ストレスを感じる方がいい上司になる”ということ。
部下に迷惑をかけていたり、上司として未熟なのに偉そうにばかりしてしまう人よりは全然いいです。
ではその苦労はどうしたら和らげることが出来るでしょうか?
『上司不在』の構造
しぼむ業界があれば膨らむ業界もある。
今の時代、この変化のスピードがとても速い。
たとえば、新進気鋭のIT企業などがどんどん立ち上がっています。
しかし中にいる人間の社会的発達は同じように速くはならない。
形だけの上司がつくられたとしても、教えられるのは“その仕事のスキル”程度。
社会人としての発達や長期のキャリアについて相談に乗れる“経験豊富な上司”がいません。
しかも経験豊富な人ほど、新しい技術を要する仕事では活躍できない。
必然的に、新しい業種の中には『世代性』を担える大人が少ないという構造になります。
社会的発達段階が『世代性』まで行っている人が、実力不足により組織にいない。
本来組織をまとめるには、仕事のスキルだけ教えられても全く意味がありません。
“人間の集まりの中でどう動くか”という、ある意味根源的なものを教える必要があるんですね。
そういう意味では、本当の上司が不在である会社が多いのではないでしょうか。
経験なくして信頼なし
やらざるを得ない役職に就き、教えるべきことを教えられない。
でもこれは決して本人のせいではありません。
会社の環境でもあるし、時代のせいもある。
そんな中で上司として立派に成長していきたいと思うなら、『経験なくして信頼なし』を覚えておくといいと思います。
経験というのは、その会社での経験とかその仕事の経験だけを指しているのではありません。
それはまた後ほど書きましょう。
まず受け入れないといけないのは、“ごまかしは通用しない”ということ。
上司としての信頼を得るには、“口だけ”や“やってるふり”は通用しない。
ある意味では実力勝負ということになるんですが、部下と戦うわけでもありません。
営業でトップセールスを上げていた人がいるとしましょう。
「誰を出世させる?」「誰にリーダーをやらせる?」となった時に、当然真っ先に声がかかります。
本人もそうでないと納得しないでしょう。
だけど、意外とこういう人事は失敗します。
なぜなら、リーダーに求められる素質はその仕事に必要なスキルと同じではない。
営業の経験がいくらあっても、いかに実績が優れていて周囲から認められていても。です。
人に教えることが出来なかったら・・・。
部下に伝えることが出来ない・・・。
部下の気持ちが分からない・・・。
自分と同じようにやらせようとする・・・。
だから上司にさせる人間は、成果だけでは測れないものがあるんですね。
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それでも上司として成長するには
とにかく我慢!
では、それでも上司をやらねばならない方へ。
「上司として成長したい!」
「若いけど、若いなりにしっかりやりたい!」
そう思う方に、同じ経験をした僕からのアドバイスです。
まずは『とにかく我慢』です。
イラっとしても表に出さない。
なぜなら、怒っても怒鳴っても、冷たくしても突き放しても、それで解決できることは本当に少ないからです。
組織の中でマグレでなく継続的に人をまとめたいなら、冷静に再現性のあるマネジメントが必要。
上司になっているぐらいなので、きっと部下は“自分より出来ない人”ばかりでしょう。
そこを自分と同じように見ていたら、「なんでこんなことも出来ないの!?」とイライラしてしまう。
これは絶対ダメ。
『部下が出来ない』のではなく、『自分は出来る』だけです。
「なんで出来ないの!?」は、なんで出来ないのかを追求できていない自分の実力不足発言です。
なんで出来ないのかを考えて、改善を試させて、検証させるのが上司の務めです。
だから我慢!
周囲が思うように動いてくれないことにイライラしなくなった時が、社会的発達段階の『世代性』です。
人の違いを理解する
経験不足が一番表れるのがここ。
『他者への理解不足』です。
「人間はこんなにも違うものなのか!」
「世界は広い。色んな価値観があるんだな。」
そんな風に思えること。
まだ若いうちには、自分の世界が限定されています。
気の合う人としか付き合ってこなかったら、それが当たり前だと思ってしまいますよね。
精神的な狭さから抜け出すと、部下の事がどんどん見えるようになり、イライラもなくなり、部下を理解でき、信頼されるようになる。
社会的発達段階で言えば、『親密性』です。
経験豊富な大人のイメージというのは、穏やかで深みのある人物ではありませんか?
余計なことを言わなかったり、いつもにこやかだったり、受け入れてくれたりする。
それは根っこの姿勢として『人は違う』ということを理解しているからです。
逆に信頼されない上司は、人の気持ちを理解しない。
そうなる前に、「自分は自分の当たり前に捉われているかもしれない」という柔軟な考えを持ちましょう。
すべての人を理解する必要なんて全くありません。
“人は違うんだ”ということさえ理解していれば、おのずと社会的に発達した姿勢になれるんです。
あらゆる『経験』で差を生む
さて、最後に言いたいのはやはり『経験』が大切だということ。
『経験なくして信頼なし』です。
ではその経験は、その会社での経験?その仕事での経験?
いいえ、違います。その仕事は部下の方が出来て当然になります。
「なんにもしてない上司」だから信頼されないわけです。
例えその仕事では部下に劣ったとしても、他の部分ですごいことがあり、そこを尊敬してもらえるなら上司としての機能を全うできます。
つまり、『何かをした上司』なら信頼されるということです。
遊びや趣味・雑学やこだわりなど、どんなことでもいい。
『特別な経験』が自分の魅力となり、部下を惹きつける。
創業者が信頼されやすいのは、きっと誰よりも努力を積み重ねてきた経験があるからでしょう。
「こんなにすごいことをしてきた人と一緒に仕事ができる」というだけでモチベーションになります。
決して今の仕事だけで勝負しなくてもいい。
トライアスロンに挑戦している肉体派課長!とか。
“お酒”への愛情とうんちくが飛びぬけているチームリーダー!とか。
ビジネス書を読み漁っている、動く理論データベースとか。
『経験で差を生むこと』
簡単に言えば、『カッコつけること』です。
カッコいい上司になるは、それなりに必ず努力が必要になる。
いま何もできないなら、何かをしましょう。
その努力の姿勢を部下は感じ取り、信頼に繋がります。
あなたはどんな経験をして、どんなふうにカッコつけたいですか?