自分の会社の歴史に興味がある人は、そんなに多くない。
だけど僕は元人事部長として、会社の起こりや創業者の思いを知ることはとても大事だと思います。
そして、会社の歴史・創業の思いを知る者は出世しやすい!
現在と関係のないように見える歴史に、どんな価値があるんでしょうか?
地元の歴史館を見て
先日、地元の歴史資料館を見ました。
縄文時代の土器や、食べていたものが「出土した地元の地名」付きで紹介されている。
見たこともない地名で紹介されているよりも、何倍も興味が沸きました。
「え?ここにナウマン像いたんだ!」とか
「ここ全部農地だったの!?」
「村ってこんなにまとまってたんだ!」
「武士同士で争ってたんだなあ、物騒」
などなど。
自分に関係する土地の歴史を知ると、とても愛着が湧いてきませんか?
その土地に居る自分を思い、地に足がついた感覚になったり、今の時代に生きる者としての行動を考えたり。
それって、主体性とも言えるものではないでしょうか。
「ライフキャリアレインボー」という理論の中に、人は9つの役割を演じるとあります。
子供、学生、余暇人、市民、労働者、配偶者、家庭人、親、年金生活者
市民としての歴史を知ると、市民としての主体性を得る。
同じように、会社の歴史を知ると労働者としての主体性を得ていきます。
会社の歴史に見えるもの
では、歴史の中には何があるのでしょうか。
なぜ主体性が生まれるんでしょうか?
創業者の思い
歴史の原点は、「創業者の思い」です。
創業者の思い
この事業を始めようと思った根本の思いは何なのか?
会社に発展していくにつれ、どのように思いが強くなったり真実味を帯びていったりしたのか?
「社会に与える価値」をどのように定義したのか?
創業者の思いは、原点に近づくほど“個人的で強い意志”だと思います。
どうしてこの事業を、苦労してまでやろうと決意したのか。
まずは一番強い思いを知ると、創業者の人間的に深い部分で共感が得られます。
創業メンバーって、社長と同じぐらいのモチベーションで活動したりしますよね。
それはやはり、一番深い部分で共感しているからです。
それから、事業をやっていくと必ず「社会的な価値」を創造しなければいけません。
創業の思いと同じかもしれませんが、多くの場合事業をしていくことで確立・確信していくもの。
自社はどんな価値を社会に与えるために存在するのか。それはどんな思いを基としてはじまったのか。
「あ、この事業はいいものだ。こんなに社会にとって価値のある、誇れるものなんだ。」
そのように気付いた瞬間があるはずです。
ポイント
歴史の中にあるのは、ただ「経営理念」を読んだだけでは到底伝わらない、“根拠めいた”もの。
会社の理念は、長く深い歴史の繋がりを理解していくことで腹に落ちるものです。
「なるほど・・・だから、この理念なんだな」と。
ただ今現在の言葉だけでは、“分かったつもり”になっているかもしれませんね。
あなたが会社にいる意味
会社の社会的価値を知ることに、どんな意味があるのでしょうか。
それは、あなたが会社にいる意味を感じられるということです。
会社の存在意義に深く共感すること。
それは、あなた自身もその事業を成したいと思っているということです。
これが会社人としての『主体性』です。
人は悩むものです。
- 「自分は一体何をしているんだろう・・・」
- 「こんなことがしたかったのかな・・・」
- 「なんでこの会社にいるんだろう・・・」
- 「毎日こんなことをして、何の意味があるのだろうか・・・」
会社説明を聞いて、理念に共感したはずなのに。
なぜこんなにモヤモヤするんだろう?
たぶんそれは、物足りないんです。
もっと深い部分に“思い”はある。腹に落ちる理由がまだあるはず。
あなたが会社にいる意味を探している証拠です。
その答えは歴史の中にあるかもしれませんね。
逆に、深い部分の思いに触れて「これは自分と違うな」と気づくかもしれません。
どちらにしても、自分の思いは明確になりますね。
出世する人の特徴
会社の歴史を知り、歴史を語れる人は“出世しやすい”傾向があります。
それはなぜでしょうか?
会社の思いを体現している
会社は創業者の思いを基にして、社会に何らかの価値を与え続けたいものです。
その思いを体現しているかどうかが、一番のその会社の評価基準になるはずですね。
ほとんどの場合、成績・業績と結びつきます。
(社会に与えた価値分が売り上げとして入るため)
しかし時に、いくら業績を上げたからといって出世できない人もいる。
そんな人は“会社の思い”と違う方向で頑張ってしまっているかもしれません。
こういった人は、愚痴を言います。
「会社は分かってない」「会社が悪い」
この負の循環に入ってしまうと、よけい出世は難しくなります。
本当に会社が求めているものは、歴史の中にあるかもしれません。
今の評価基準に納得がいかないかもしれない。
しかし、歴史を見たら納得するかもしれない。または“やっぱり自分には合わない”と決断できるかもしれない。
どちらにしてもキャリアコンサルタント的観点で言うと、この場合「出世したいのにできない」のは
『会社理解』が足りていないのが原因です。
『会社理解』会社が何をしたいのか?
『自己理解』自分はどうしたいのか?
ポイント
会社がしたいことと自分がしたいことが一致している状態。
これが一番主体的になれる状態であり、出世しやすい状態です。
歴史の中には、そんなチャンスも眠っていますよ。
代弁者として組織をまとめられる
部下を持つと、何人もの人を組織としてまとめあげ成果を上げないといけない。
部下に主体性を持たせるために、あなたは何ができそうですか?
- なぜこの会社はあるのか?
- なぜ自分はここで働いているのか?
- この会社の社会的価値は何なのか?
- 部下はなぜここで働くのか?
こういうことを語れる上司が、理想的な上司ですね。
部下が迷わないように。正しい方向で成果を上げられるように。
よく、管理職や経営幹部は『社長の代弁者』と言われます。
その会社ではどうあるべきなのかを部下に語れるということ。
とても大切な資質だし、責任であると思います。
部下から
「この会社の存在意義は何ですか?」と聞かれたら
「なんで僕は働かなきゃいけないんでしょうか・・・」と相談されたら
「もう仕事嫌になっちゃいました」と言う部下がいたら?
あなたは何が言えそうですか?
その答えはきっと、会社の歴史の中にあります。
たまには社長とそんな話をする機会があるといいですね。
自分の仕事も今までより誇れるものになり、「これでいいんだ」と胸を張って取り組んでいけますよ。