国家資格『キャリアコンサルタント』の社内コンサルティングは何の役に立つのか?
社員をキャリアに向き合わせたら…「社員が離職しちゃうんじゃない!?」
いえいえ、全く真逆!その思考がヤバい!
元人事部長キャリアコンサルタントが企業のメリットを考える。
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社内キャリアコンサルティングの目的
社員のキャリアコンサルティングなんてしたら、辞めちゃうんじゃない!?
会社がその思考だと、もっと早く辞めてしまうかもしれません。
新しい社会に適合した教育の在り方と、社員の心理を考えてみましょう!
キャリアコンサルタントは、転職エージェントではありません。
①自分で学ぶ社員に
まず、キャリアコンサルティングの目的です。
私流ですが、大きく3つあると思っています。
目的①
自分で学ぶ社員になる。
これからの社会は、超転職市場になっていくと言われています。
生産人口の減少とテクノロジーの進化により、『ジョブ型雇用』が叫ばれるようになってきました。
僕が人事部長をやっていたのはもう2年も前になりますが、それでも感じていました。
「もうジョブ型にしないと持続不能だ」
今までの、新卒を大量採用してゆっくり育て、全員をゼネラリストにする時代は終わった。
すでに、人がそれを望まない社会になっています。(社員にとってかなりのリスクになる)
マネジメントの形は変わり、スキル重視・能力重視の採用にシフトしていきます。
ジョブ型雇用の社会は、会社が教育するのではなく社員が自分で学ぶことになる。
もし、会社が教えないのに個人も学ばなかったらどうなりますか?
いくら採用しても成長せずに、次から次に人が辞めてしまいます。
何より会社が成長し利益を上げるためには、自分で学んでくれる社員が必要になるということです。
②役割に自信と主体性を持つ
アメリカなどの働き方をイメージしてみると分かりやすいかもしれません。
「自分はこれができる人だ」と、明確なタグを持っていると思いませんか?
目的②
役割に自信と主体性を持つ社員になる。
「自分はこれができる人間だ」と自覚できることは、これからの社内においてとても重要です。
社内において自分はどのように立ち回ればいいのか?
どんな時が自分の出番なのか?
これが分かると、よく日本企業で目にする責任の押し付け合いがなくなります。
また、そうなることで自信を持って働くようになります。
胸を張って働く。
ここで自信と誇りを持ち働いているのに、簡単に離職するでしょうか?
そうはならないですよね。
さらに、これからの企業の生産性は、“いかに個人に突き抜けた個性を発揮させるか”が大切になってきます。
マネジメントが、全員一律の基準で育てる形から個性に合わせて伸ばす形に変化しているのです。
会社側は、どんな役割を求めているのかを明確にする必要もありますね。
(そうでないと、個人が転職市場に適応できない)
③会社のミッション=個人のミッション
自己のキャリアに主体性を持ち、役割が明確になると、会社に所属する悩みがなくなります。
目的③
会社のミッションは自分のミッションでもあるという自覚を持つ社員になる。
これが会社側からすると意外かもしれません。
個人は「何がしたいか」と向き合っていきます。
そして、それは離職を意味するものではありません。
「この会社への所属は自分にとってどんな意味があるか」と向き合うのです。
今まで不明確だった“自社にいる意味”に、自分なりの答えを持つことになります。
離職の原因は、ここにいる意味が分からなくなることです。
意味が分かれば、より強いエンゲージメントが期待できるんですね。
エンゲージメントが強い状態とは、「会社の言うことを聞いてくれる状態」ではありません。
「自分のやりたいことの中に会社のやりたいことがある状態」です。
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『キャリア主体』が【会社→個人】に
人生100年時代の「社員の心理」
ここで、社員の心理を考えてみましょう。
なぜ、キャリアの主体を個人に移行しないといけないのか?
あなたの会社は、80歳の人材を何人抱えられますか?
社員は、80歳でも働かないといけないのに、今の会社では無理だということを知っています。
次のキャリアに向けて準備をしないといけないんですね。
政府も経済のサステナビリティのため、働き方改革を行いました。
「個人に勉強する時間を与えてあげてよ!だって、おたくで80歳まで全員雇ってくれないでしょ?」ということです。
この流れは止まりません。
会社にキャリアの主体を握られることは、個人にとって準備不能になることを意味する。
個人の都合を無視して変わり続ける社会の中、何が怖いのか?つまり、何が離職に繋がりやすいか?
「今の会社にいたらこれしかできない自分になってしまう。」
「今の会社では将来が見えない」
ということです。
子供や家族を養っていく社員は、会社にキャリアの可能性を奪われている場合ではないと考えます。
だから会社側は、「柔軟な働き方・ジョブ型の受け皿・実績を積む機会」を設けておくことが大切。
そして社員の未来を明るく照らすために社員の主体性を向上させることが、結果的に会社の業績を引き上げていく。
これからはそんな構造に変わっていきます。
個人の『3主体』
社内キャリアコンサルティングの目的
- 自分で学ぶ社員に
- 役割に自信と主体性を持つ
- 会社のミッション=個人のミッション
これを、3つの主体性『3主体』と呼びましょう。
3主体=成長・役割・協働
「社員の主体性を促す」と言う意味が、今までは“会社の中で”だったと思います。
でもこれからは個人主体のキャリアにしなければいけない。
会社が個人のキャリアに責任を持てないからです。
だから、“会社の外で”の主体性に意味が変わる。
そして、その個人の主体性の中に会社が存在すること。
結局3主体を実現するには、会社の存在が必要なんです。
離職を怖がって社員を会社の中に囲い込むと、余計にそっぽを向かれてしまうんですね。
教育システム→キャリアコンサル
つまり、これから重要になっていく考え方はこうです。
会社主体の教育システムを、個人主体の成長に置き換えていく。
それをするのがキャリアコンサル。
学校の教育も同じです。
一律の教育しか施せないシステムに限界が来ています。
時代は個人の特性を伸ばさないといけない時代になっているのに、学校の仕組みはあまりに巨大で社会に根付きすぎて、もはや改革が困難です。
学校ではまだ出来なくても、企業はすぐに変われます。
僕がキャリアコンサルタントなので多少ひいき目に言ってしまうかもしれませんが、怖がらずに社内キャリアコンサルを導入してほしい。
元人事部長の僕が、特にそう思っています。