私たちキャリアコンサルタントは、企業にどんな価値を与えられるのか?
現在、社会での「キャリア」への意識は薄く、
自社の問題と「キャリアコンサルティング」が結びついていない会社がほとんど。
学べば分かる、企業内での価値。元人事部長が解説します!
カウンセリングのプロ
キャリアコンサルタントは、「カウンセリング」の技法を学び実技の試験に合格した者です。
だから、普通は掘り下げられないところまで社員の悩みや思いを掘り下げることができる。
注意ポイント
ほとんどの場合、問題の本質や本当の思いを、本人は自覚していません。
そしてアドバイスにも細心の注意を払います。
技法や専門知識のない人がカウンセリングをすると、先入観や思い込みが介入します。
カウンセリングは「クライアントファースト」です。
徹底的に話す人の立場に立つ技法を使ってカウンセリングをします。
キャリア理論のプロ
理論を多く持つことで、問題の「見立て」が可能になります。
どこに問題がありそうか検討を付けることが見立て。
興味領域・発達課題・転機の乗り越え方・過渡期の対処法などなど。
お話を聞きながら、全方位的なアプローチで見立てをしています。
これも学んでいないと、体験からしか導き出せません。
思い込みで導いてしまうということです。
その場合正しい問題は解決されず、
辞めなくてよかった人材が辞めたりモヤモヤしたまま働く人が増えてしまいます。
正しい課題・正しい処置が見つかる
キャリアコンサルタントから、知識・技能のない“お悩み相談”を見ると
(自己理解不足なのに…そのアプローチでは解決しないよ)
(仕事理解不足なのに…いくら本人を詰めても良くならないよ)
と思ってしまうことがあります。
特にある程度成功した社会人が相談を受けると、
本人の中にしか答えがないのに、相談を受ける側が早く導きたくなってしまいます。
相談を受ける側の正しさではなく、相談者自身の正しい問題・処置方法があることを知らなければいけない。
カウンセリング・キャリア理論のプロがやるから、本質が見やすくなるんです。
社員の自己理解が深まり自覚を促す
正しい理論の中で自分を客観的に分析していくと、
自覚していなかった自分の本質を自覚するようになります。
自己理解は他者理解も促します。
コミュニケーションの問題解決や主体性アップ、キャリアストップ防止など、様々に影響してきます。
自分自身への「自覚」はとても大切な社会人の基礎です。
自己啓発とは、ほとんどの場合自分自身への気づきです。
多様性を受け入れられる人を増やす
自己理解が深まると、人は違うという前提をつくることになります。
自分と人の違いを受け入れるようになる。
これが組織を大人にし、相互理解を促し、様々な人が嫌な思いをすることなく力を発揮してくれるようになります。
人は自分を確立できないから他人をバカにしたりマウントを取りたくなる。
強みを活かしあう土壌ができれば、
多様な人が活躍できるようになり、組織全体の生産性が上がります。
さらに人材獲得合戦の昨今、ここに取り組めない企業から淘汰されていきます。
これからの時代は、一様な人材で組織を成り立たせることに限界が来ます。
社員に危機感・主体性を与える
また、自己理解が深まると「危機感」が生まれます。
組織に頼り切っていてはいけない。このままではいけないという危機感。
生産性の低い人材でいてはいけないという意識が生まれます。
危機感を持った人材は、自立自走し始めます。
その姿勢が主体性です。
注意ポイント
例えば、今の現実社会では30代でも「人生半ばの過渡期」が来ることを知っている人は少ない。
何も準備することなく、気か付けば会社の荷物になってしまう。
転職をすることもキャリアアップすることもできず、若い人材はその人たちを引きずりおろそうとしています。
成長意欲が高まりキャリアストップを防止
社内の「キャリアストップ」とは、成長を止めるということを意味します。
怖いのは、1人がキャリアストップすると周囲の人の成長を阻害すること。
管理職や長くいる社員のキャリアストップを防止しないと、若者から見て全く魅力のない組織になります。
人材獲得競争をしている中、採用よりも大切なことです。
キャリアストップを防止するためには、中堅社員にも危機感を持たせること。
ただの根拠のない脅しのようなものではなく、理論に基づいて現実を見てもらうこと。
深い自己理解が必要になります。
置いていかれない人材を増やす
キャリアストップした人材は置いていかれます。
当然、組織に悪気はない。
本人が頑張らないのだから仕方ない。
しかし、我々は「キャリア教育」を受けていない大人です。
キャリア教育とは「生きる力」です。
今までの教育上教えられていないことをやらされている。
公式を教えずに数学の問題を解こうとしているようなもの。
キャリアコンサルタントが教えるのは、キャリア形成の公式のようなものです。
目標設定・行動計画で実践する社員へ
面談をする場合、目標設定と行動計画を立てるまでやるのが望ましい。
実践しないと仕方ない。
キャリアコンサルティングの流れでは、実践の振り返り(フォロー)までをセットにするのが本来の姿。
この目標はあくまで本人のものであり、だからこそ自分の責任で取り組む。
出来なくても誰にも責められない。
ただ出来なかった自分とご対面する。
これが本当の厳しさであり、生きる力を育むことです。
実際はどんな問題が起こっているか分かる
深い部分まで自己理解を進めることで、
会社のせいではなく自分の問題と向き合うようになります。
しかしその過程では、キャリアコンサルタントから見て「会社の課題」と言えるものも見えてきます。
専門知識のない人では掘り下げられない課題まで抽出することができる。
この部分を経営者にしっかりフィードバックすることも、私たちの役割です。
また、私たちキャリアコンサルタントには「守秘義務」があります。
社員と面談した詳細は、本人の許可がないと会社にも伝えるわけにはいかない。
社長は不安に思います。
「何を話しているんだろう。」
「大丈夫なんだろうか。」
「不満を増長するだけなんじゃないだろうか。」
注意ポイント
しかし、これが根っこにある会社の課題であることに向き合わないといけません。
社長が社員を信用しない限り、本当の声は聴くことができません。
本当の社員の幸せや、自分らしさを尊重していますか?
持続可能な会社へ
企業の持続可能性には、多様人材をいかに活かすことができるかが重要になってきます。
これから「キャリア」を学んだ若者は、「自分」を持って社会に出る。
まっさらな人材を自社に染めていくのは、時代遅れとなるでしょう。
現在の大人は、キャリア教育を受けず社会に出ている。
そんな大人が若者にキャリアを教えることはできない。
自分を持つ術、生きる力を教える術がありません。
だから今、社会にいる大人こそがキャリア教育を学ばないといけない。
社員を“使う”という姿勢の会社は、これからどんどん選ばれなくなってくる。
モラルの時代、人間性の時代になります。
社員を自分らしく輝かせたいと本気で思うなら、キャリアコンサルティングを導入してはいかがでしょうか?