小学校で取り入れはじめたアクティブラーニングを本当に実現するためには、どうしても足りないものがある。
それは、個別の教育だ。
そもそも小学生にとって主体性とはなにか?
子供の主体性を育てるにはどうしたらいいのか?
ヒントは子供たちの頭の中に。
主体性の正体(小学生)
表現や主張のことではない
小学生を子供に持つ親は、2020年から変わった学習指導要領を知っているでしょうか?
何を学ぶかだけでなく学び方自体が変わり、主な取り組みとして『アクティブラーニング』が取り入れられています。
今までのようにスクール形式で受け身で授業を受けるだけでなく、議論をしたり体を動かしたりより主体的に学ぶようにすることで深い学びを手に入れようというものです。
はじめに気を付けて欲しいのは“主体性とは何か””について。
社会人にとって主体性といえば、積極的に行動したり会議でたくさん発言したりすることをイメージしますね。
だけど小学校で言うアクティブラーニングの主体性はもっと根本的なもので、学びたいと思う気持ちそのものです。
表現性が高いとか主張性が高いとかいうものではないので注意しましょう。
アクティブラーニング~なぜ主体性が必要か
なぜアクティブラーニングが必要なのか。
主体的な学びが必要なのかと言うと、いつでもその問題は社会の方にあります。
日本の発展は工業生産の時代に比べれば欧米諸国に見劣りするようになってきました。
この一つの要因としては、工業生産向けに統一された一律の教育。
結果論なので言ってもしょうがないことですが、終身雇用制度を作り上げ、正解と不正解の道が明らかに作られた。
だからその道を通ればキャリアが築けるものであり、答えはいつでも誰かが持っているような社会になってしまった。
社会に出ると急に学ばなくなる日本人は、まさに学校教育が社会へのレールであることを証明しているようです。
つまり現代社会の問題はこうです。
自分の答えを持たない社会人が増えてしまった。
何がしたいのかを自分の言葉で言えない人、進路選択をいつまでもできない人。
こうした社会への主体性のなさが問題となっているからですね。
充実感=知識欲、探究心、好奇心、成果達成欲
社会人にとって主体性は“社会への問題意識”かもしれません 。
小学生の場合、SDGsなどのわかりやすい社会問題に対しては問題意識を持てますが、そのほか知らない社会構造が多すぎます。
社会に出たばかりの若者だってそうです。
いつでも始まりは「稼ぎたい」とか「かっこつけたい」とか「スキルが欲しい」とか、利己的なもののはず。
それが長い時間社会と向き合うことで、社会に対して働きかけたい何かに変わるんですね。
だから小学生は、もっともっと利己的なものであるはずです。
みなさんも子供の頃を思い出してみましょう。
一番一生懸命だったのは『遊ぶ時』だったはず。
だからキーワードはこれ。
遊ぶように学ぶ。
もちろん教え方としてはかなりの難易度です。
(小学校の先生は大変!だから親が協力してはじめてアクティブラーニングは成立すると思います)
遊びの定義は人それぞれだと思いますが、ここでは『小学生が充実感を得られること』ということにしましょう。
・図鑑を読んで知らなかった動物や植物を知っていくことにワクワクする子供。
・宇宙の仕組みはどうなっていて、ロケットはどうして飛ぶのかを深く知る事にスゲースゲーと興奮する子供。
・友達と一緒に新しい遊びを思いつき、やっているうちにどんどん発明しながらしまいには全く新しい遊びに発展している子供。
・ 出来なかった技ができるようになるとめちゃくちゃ嬉しくて、研究に研究を重ねる子供。
こんなことのためなら、寝る間も惜しんで遊びに没頭してしまうということ。
このために“必要だから”知識を学ぶ。
これが本来の学びの姿でもありますよね。
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『充実感』なにで満たされたがっている?
特性が違う=充実を得るポイントが違う
『充実感』を得られるような何かがあれば、子供は主体的に学び始める。
とはいっても簡単ではありませんね。
ましてや学校の先生には無理があります。
なぜなら、子供達が何に対して没頭するのかは、1人1人違うからです。
子供達も『特性』がみんな違う!
特性によって変わるのは、理科が好きとか社会が好きとか音楽が好きとか教科も少しあるでしょう。
しかし一番違うのは、 主体性が現れるまでのアプローチ。
例えば子供達に、『算数をアクティブラーニング』してもらおうと思ったらどんなアプローチがあるでしょうか?
ただ単に理路整然と数式を解いていくことに喜びを感じる子供は「ほんの一部だろうなあ」ということは簡単に想像できますね。
たぶん今まではこれが常識だったと思います。
「勉強が好きなこと嫌いな子がいるんだな。」
僕はそうではなく、アプローチを変えれば算数を好きになる子供達はもっともっと増えると思うのです。
ファクト/プロセス/ヒューマン/WOW
僕はいつも4つの思考特性をもとに分析をしているので、たとえばこんな切り口があるなと思っています。
- ファクト
- プロセス
- ヒューマン
- WOW
ポイント
とにかく事実を追求していくことに喜びを感じる。
一見解くことが不可能と思われるバラバラの事実が、算数によってすっきりと整頓されていくことがとっても気持ちよく感じられるでしょう。
この場合は算数向きの思考なので、問題集があるだけで楽しいかもしれません。
ポイント
行動の連鎖を積み上げていくことに喜びを感じます。
だから例えば、 テストで90点以上を取ることを目標に一か月の勉強計画を立てる。
毎日コツコツできている自分にも喜びを感じるし、少しずつ力になっていくことも嬉しいでしょう。
最初からすぐに主体性を発揮しないかもしれませんが、テストの点数が良くなっていくと算数が大好きになっていきそうですね。
ここまでの2つは直列収束思考なので、そもそも算数向きの思考です。
他2つの並列拡散思考をどうやったら「算数好き」に結びつけられるか、ここを考えるのが親の腕の見せ所ですね!
ポイント
人との繋がりを大切にしたり人への興味が強い子供には、“算数と人”を結びつけましょう。
例えば、とても尊敬のできる算数の先生を見つけて、その人の動画で学ぶとか。
仲が良くて算数が得意な友達とお勉強会をしたり。
親が楽しく算数を教えたり。
“一人で”無理やりやらせると、算数が嫌いになってしまうかもしれないので注意です!
ポイント
驚きと発見が好きなので、一番算数には興味を示さないタイプかもしれません。
では、驚きや発見と算数を掛け合わせてみましょう。
例えば、 ドラマチックな展開でストーリー性のある数学学者の歴史を知るとか。
ホワイトボードを使って図形で分かりやすく、楽しく説明してくれる YouTube 動画を見るとか。
“単調”な勉強方法は最も嫌う可能性が高いので、コツコツやらせるよりは夏休みの宿題のようにポイントで追い込んで集中的に取り組むと良いかもしれません。
算数だけで考えてみましたが、他の教科も一緒です。
4つの思考特性と主体的に学ばせたい教科をかけ合わせて学び方を考えてみましょう。
そう、つまり「個別化教育」というのは今の学校教育のシステムでは無理がある。
本当にアクティブラーニングを実現するには、親などの「子供の特性に合わせてアプローチできる存在」が必要なんですね。
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