人間関係以外の退職理由でいま最も多いのが「将来への不安」。
特に「この仕事は○歳までは出来ない…」と考えると、絶望にも似た感覚に。
会社に頼ろうにも、生産性の低くなった人をずっと置いておくわけにもいかない事情が…
元人事部長はこう考える!
「○歳まで働ける?」企業の事情
接客・体力仕事
特に接客業や体力仕事などは「若いうちしかできない」仕事があったりする。
「ここでは○才までは働けないなあ」と感じると、さっそく次の仕事を探さないとヤバいと感じますよね。
例えばアパレルなどは代表的です。
今はコロナによって業界が厳しくなっていますが、これは“伸び盛り”の時も一緒です。
会社の事情としては、若い人を採用し、若い時だけ働いて欲しい。
ある程度の年齢を超えて働けるブランドは、ターゲット年齢層の高いブランドだけでしょう。
現場は常に若い人にしておきたいのです。
そもそも店舗が急に増えていくのはなぜか?
もちろん売上的な側面もありますが、雇用を守る面も実は大きいと思っています。
現場にいた人材が次にどこに行くのかと言うと、管理する職や総務経理といった間接部門。
このような仕事は人数がそんなに要らないため、店舗を増やすしかなくなるんですね。
人を雇ったからには拡大しなければいけない構造の会社がある。
これだといずれ限界が来ることは目に見えている。
若い人しか働けない現場はこうなりがち。
拡大すれば余計に若い人を現場に採用しなければならず、負の連鎖は止まりません。
景気が良ければ売上は伸びるから、余計に気付きづらいんです。
エスカレーターはない
では、体が動かなくなった時に“全員が管理職や間接部門に行けるか”というとそれはない。
管理職には難しい適性の問題があるし、間接部門はそんなに増やすわけにはいかない。
つまり、「人が辞めることを前提」としているんですね。
これ、完全に会社の都合ですが、会社は何も悪くないですよ。
そもそも人の人生全てに責任を持たないといけない理由はないし、今までは終身雇用の雰囲気があったので優しかっただけです。
会社は緩やかに拡大しないといけないし、若い人を現場に採用しないといけないし、辞めてもらわないともたない。
これが多くの“若者中心の”会社の事情。
そしてこれは、人生100年時代においてはより顕著になります。
会社は個人の雇用を守っている余裕なんてありません。
個人の時代なんだから、「個人で何とかしてもらわないと」という風潮は強くなります。
「ここでは○才まで働けない」
「ここでは長く働けない」と絶望してしまうのは、単に体が動かなくなるからとかだけではない。
「会社の荷物になってしまうから」という思いも強いから、総合して余計に『早く辞めなきゃ』となるんですね。
コロナを機に、いよいよ「この会社では将来がヤバいかもしれない」と考えた人は多いかもしれません。
しかしその前から目に見えていないだけで、「会社が何とかしてくれるはず…」とすがるような気持ちで続けていた人は多いのではないでしょうか。
漠然とした希望的観測を排除して、自分は“上を狙っていく”のか。
それとも“ここではジョブ型”と割り切って「○才まで」と考えるか。
以前よりも前向きにこのことを捉えるべきだと思っています。
会社も長く働いてもらうわけにはいかない。
自分も長く働くわけにはいかない。
じつは本質的なところでお互いのメリットは一致している可能性が高いんです。
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『企業の事情』と『個人の事情』は切り分ける
常識を変える会社と個人の事情
成長期時代に接客などをするサービス業は大きく店舗数を広げていきました。
ただし生産人口は減り、働く若者たちの人材獲得合戦が激しくなった。
そんな時に、例えばマクドナルドなどはさすがでした。
今までの“若者しか働けない”という常識を覆し、主婦を中心とした40代50代が働ける環境を整えたのです。
現在では外国人労働者も当たり前になっていますね。
でもこれは、長く働いてもらうためではない。
売上を守るためです。
個人は長く働けるようになったと勘違いしてはいけない。
『会社の事情』と『個人の事情』を切り分けよう。
ある意味“ドライな関係”が必要だと思っています。
なぜなら、会社が雇用を守ろうとすると“どうしても無理が生じる”。
しかも個人はそれに甘えて、準備をしなくなってしまいます。
会社は「食べるための仕事」をしてはいけない。
それは社会に求められるものではない。
人がいない方が都合がいい仕事ではないか
また、「これは人がやらないといけない仕事なのか」という観点も今後は大事になってきます。
場合によっては「人がやらない方が都合がいい」仕事もあります。
例えばレジなどはどうでしょうか。
レジ打ちがめちゃくちゃ早いプロなども生まれましたが、今はどんどん自動化の流れになってきています。
人がやっている場合、遅ければクレームになるし、間違いがあれば店員のせいになります。
さらにお金のやり取りに店員が介入するため、お金が少なかったりしたら真っ先に店員が疑われる。
人がやらない方が都合がいい仕事がある。
では、レジ打ちしか仕事が出来ない人のために仕事を残すか?
それでは本末転倒ですね。
個人はいつも自分をマネジメントしないといけない
このように現代では“あるべき姿に向かって改革が起こっている”と思った方がいいでしょう。
若い人しか働けない仕事は、会社も個人もそう割り切っていた方がいい。
会社が個人のためにと思って無理に拡大すれば、いずれ会社の存続自体に危険が及ぶし、会社に頼ろうとする個人を生んでしまえば悲劇です。
では個人は「この仕事では長く働けない」と感じた時にどうするか。
将来に絶望するのではなく、むしろ可能性を広げてほしい。
大切なのは学び続けることです。
「次の仕事は何をしよう」
「自分がやりたいことは何だろう」
「次は何をできるようにしよう」
そのように自分をマネジメントしていると思えば、楽しく人生の望むことができます。
絶望の原因はただ一つ。
『キャリアの主体性を会社に握られている』ことです。
自分で何とかできる人生なら、絶望なんてある訳がない。
仕事を辞めた先にこそ、自分のやりたいことがある世界です。
そのためには、自分のために学び続けることです。
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