最近よく厚生労働省が使っている『働きがい』という言葉。
あなたに馴染みはありますか?
キャリアコンサルタントとして、これはとても重要だと思う!
しかしまだ「働きがいって何?」ということが浸透していないと感じる。
あなたの『働きがい』、足りてますか?
『働きがい』って何よ?
厚生労働省がよく使う『働きがい』という言葉。
働きやすさとは使い分けられて、僕はとても共感するんですね。
「会社のみなさん、社員さんの働きがいを考えて上げてくださいね!」というメッセージです。
働いているとモチベーションが上下します。
働きやすさというのは、どちらかと言うとマイナス要因を取り除くイメージ。
働きがいというのは、さらにプラス方向に引き上げるものというイメージです。
モチベーションの要因には2つあると言われています。
- 衛星要因(これがないと下がる)
- 動機づけ要因(これがあると上がる)
簡単に言えば、働きやすさは衛星要因で、働きがいは動機づけ要因と思っておけばいいと思います。
なぜ厚生労働省がよく使い、キャリアコンサルタントである僕も「社内で働きがいは大事だぜ!」と思うのか?
それは、人生100年時代においては『働きがい』がないとやってられないんじゃないの!?と感じるからです。
大きな理由は2つ。
①我慢して働く時代ではない。
②個人にメリットがないと会社は選ばれない。
人口減少による影響で基本的には人手不足には変わらないこと。
そしてテクノロジーの発展によって働き方は多種多様になっています。
今までよりもはるかに「やりたいことができる時代」になってきている。
だから会社にいてもらうためには、衛星要因だけでは厳しいんですよね。
また、同時に会社が握っていた個人のキャリアが、個人の責任に移行していきます。
これは、会社が個人を縛り付けるほど、個人にとってはリスクが大きくなるということ。
副業禁止や長い労働時間は、そのまま個人の未来への準備が出来ないことに直結します。
会社を選べる時代、「なんかつまんねえな」で辞めてOKなんです。
だって長い人生100年の責任を取ってくれる会社なんてないですからね。
新しい社会で個人と会社がwin-winの関係になるには、会社が今までよりも動機づけ要因を増やさないと対等ではないのです。
スポンサーリンク
何が『働きがい』になる?
【報酬】は最低限必要
まず報酬に関しては衛星要因なので、あまり重要ではありません。
出世したいと考える人も減ってきたのは、それ以外で収入を上げる方法もあるし、やりたいこともあるからです。
今までよりも自由であり、報酬さえ上げればモチベーションが上がるという端的な考えはまず最初に捨てないといけません。
ただ、重要ではないからといって最低レベルまで下げるのも良くない。
見るべきなのは、数字ではありません。
従業員のリアルな生活。それも長い時間軸を考慮した給与設計です。
「よく考えたらこの会社にいたら将来ヤバいよね」という設計をしている会社は本当に多いです。
固定給だけでなく売り上げによって報酬を増やすなど、ゲーム感覚で収入を増やせる仕掛けなどがあると、会社も個人も共に嬉しいかもしれません。
【能力】将来の役に立つスキルが身につく
これ、近年とても重要になってきています。
なぜなら、個人は必ず“転職を意識しないといけない”からです。
会社に頼れない時代、40歳~50歳で社外に放り出されるかもしれない。
そんな時にどんなスキルが自分の役に立つのか?
どんな力が自分を救ってくれるのか?
- 将来も使えるスキルを使うか?
- 経験が転職に有利か?
- 資格取得は推奨されているか?
- 勉強する時間は確保できるか?
この辺りは非常に気になるはずです。
「将来使える」と思えることが働きがいとなる。
逆に、ここにいても自分のキャリアは前に進んでいないと思うと、働きがいを失い辞めたくなってしまいますね。
【興味】好きなこと、人生の有益感
それから、「好きなことの方面に携わっている感覚」も重要です。
これは会社が個人に合わせるわけにはいかない部分ですが、少なくとも「自社の製品・サービスの価値」についてしっかりと社員に浸透させることは必要でしょう。
これ、なぜかと言うと、個人は少しでも興味のある方向で未来を切り開かないといけないからです。
将来の個人としての競争力に関わるのです。
人生100年で長く働き、いずれ会社に頼れなくなることを思うと、自分の好きな分野・得意な分野でないと勝てない。
しかもせっかく多種多様な時代になってきたのだから、自分の得意分野で稼ぎたいと考えるのが普通です。
面談などを通して個人が何を目指しているのかを知り、個人の人生の中で自社がどのように有益に関われるかを示していきたいですね。
【価値観】働き方や「人の役に立つ」など
働き方に関しても、人それぞれ価値観が違うことに気を遣いましょう。
例えば、このような価値観があります。
- 自分のプライベートの生活面が守られること
- 自分なりの考え方で仕事が進められること
- 人に感謝される仕事がしたい
- 挑戦に溢れた環境に身を置きたい
- 多くの人に囲まれて仕事したい
- 一人で黙々と作業したい
本当は人の役に立ちたいのに、挑戦ばかりさせられていると、次第に心が擦り減っていきます。
価値観に合った働き方をしていないと、働きがいは感じられないんですね。
一律にマネジメントをしていたら見落としてしまうことです。
一人ひとりの価値観を受け入れることからが始まりですね。
【想い】社会への貢献、本質的「善」
最も重要な働きがいが、『想い』ではないでしょうか。
想いとは、働いていると湧いてくる衝動的な心の動きです。
「ああ、この仕事はイヤだな…もっと胸を張れることがしたい。」
「この仕事はこんなに素晴らしい事だったんだ!」
プラスにもマイナスにも思いは芽生えてくるものです。
社会への貢献をしたい気持ちや、本質的に「善いことしてる」という感覚を求めること。
真剣に働くほどに、そういう想いが出てきます。
じつはこれが、本当の意味で「やりたいこと」なんだと思っています。
自分にウソをついたり、ごまかしながらやっていると、40歳ぐらいの人生半ばの過渡期で思いなおすことになります。
会社としては、真剣に自社の事業が何のために存在しているのかを考え、言語化し、社員に伝えていくことが大切です。
それでダメなら、その人は会社にいるべきではない。
個人の想いを芽生えさせるには、会社の想いを表明することが大事ですね。