『キャリア教育』の必要性。
これを伝えていく責任が、我々キャリアコンサルタントにはあるんじゃないかと考えています。
今回は、なぜ今までと同じではいけないのか?なぜ大人の常識で子どもを教育してはいけないのか?
物価が上がらない理由から考えてみよう。
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このままじゃマズイ理由
物価が上がらない日本
「日本は物価が高い」と思っている人がいるかもしれません。
確かに、世界の平均からすれば高い方かもしれない。
だけど、その物価が日本ではずっと変わっていないことを疑問に思っているだろうか。
例えば、「ダイソー」と言えば100円均一ですよね。
ところがタイのダイソーは200円程度の平均価格で売られています。
それから、あなたはラーメン一杯にいくらだったら払えますか?
おそらく700円~1000円でしょう。
これがアメリカに行けばラーメン一杯1500円ぐらいします。
おそらく普通の日本人なら、「そんなに払えないよ!」と思うでしょう。
日本ではバブル崩壊以降ほとんど物価が上がらず、他の国に追い抜かれている。
物価が上がるということすら、おそらく現代の常識の中にはないでしょう。
そんなことは実際の生活を考えれば分かりますよね。
物の価値が上がらない(出すお金を上げてもいいと思えない)のは、僕たちが経済的に豊かになっていないからです。
世界の平均給与
世界の平均給与でも日本は少しずつ追い抜かれています。
世界平均給与ランキングでの日本の順位
2000年 13番目
2019年 22番目
給与が落ちたわけではない。他が上がったんですね。
でも、生活はどんどん苦しくなっていると思いませんか?
国の中でも会社の中でも同じですが、『停滞=衰退』です。
他が良くなれば、相対的に苦しくなって当然なんですね。
『給料が上がらないのに払うものだけ増えると苦しい』ということです。
世界的にいえば、払っていなかった携帯代がかかるようになり、核家族世帯になって家賃が倍増し、化粧品が増え、情報端末が必要で、あれこれも昔に比べて必要なものが増えた。
だけど、日本の給料は上がっていない。
当然苦しくなります。
もう一方から見ると、なぜこんなに物が増え、サービスが増えたのか。
豊かになりたいから、商品を作って売るわけです。豊かになるには売らないといけない。買うには売らないといけない。
でも、買うことには限界が来た。もうそんなにお金がない。
買えない売れない。売れないから買えない。
売りたい人が増え、買いたい人がいないから苦しいんですね。仕事しても仕事しても生活は苦しくなるばかり。
買ってもらえないから値段を上げられない。
デフレスパイラルというやつです。
労働者は豊かにならないスパイラル
いま世界はSDGsなどで児童の強制労働者を減らそうとしています。
だけど、このままではいずれ日本がそういう子供が多い国になるんじゃないか。
そんなことは避けたいですよね。
個人の生活を考えてみましょう。
一度上がった生活水準を下げるのは大変です。
税金は上がったまま払わないといけないし、車を一度持ってしまったら手放したくないし、スマホがなくても生活できる人なんていなくなってしまったんじゃないでしょうか。
幸せを感じられるために、どうしても豊かさは必要です。
特に世界が目覚ましい勢いで進歩している今、日本が追い付いていけないということは労働者が苦しくなるということ。
でもほとんどの人は、実際には大きなことは言ってられず日々の生活を送ることで精一杯なはずです。
単純に考えてです。人口が減る日本。
物を売れない時代に物を売ろうとしている。このままでは限界なのは明らかです。
もうみんなが持っていてお腹いっぱいなのに、自分の生活が苦しいから売りつけたい。そんな構造になってしまっていないか、改めて考える必要があります。
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製造業向けの教育にいれたメス
天才が生まれる国は
このようになってしまった構造は、明治時代から続く教育システムにも要因があります。
このシステムは製造業に向いたものであり、ものづくり+人口増の時代であれば大成功を収めました。
でも今は、アメリカの企業にあっという間に追い抜かれました。
なぜか?
アメリカでは優秀な天才たちがどんどん生まれているからです。
日本は一律の教育で一定の年齢になれば誰もが一定の水準になっている。
そんな時にアメリカでは、優秀な人はすぐに学校を卒業させ、実務の中でその個性を発揮させていたんですね。
天才が生まれる国は、個性を伸ばす自由があった。
日本はどちらかというと協調によって発展してきた。
自由の代わりに払った代償も多いはずなので、どちらが良いかは価値観によると思います。
IT中心なら天才が生まれる自由が生きる。
製造中心ならみんなでつくる協調が生きる。
時代によって前者が台頭してきたということではないでしょうか。
日本もこのままじゃいけない!
製造業も厳しく、雇用を守っていける時代ではない!
ということで、今までの教育にメスを入れるべく『キャリア教育』が強化されたわけですね。
キャリア教育=製造業偏重である過去の教育からの脱却
そんな見方ができます。
日本の未来がかかっているといっても過言ではないと、僕自身は思っています。
企業の数はこんなに要らない
個人の時代と言われるのは、ITテクノロジーの発展が要因のひとつ。
企業に頼らなくてもよくなってきた。
もうひとつは、同時に企業の力が弱くなってきたということです。
単純な話、もうこれ以上、同じサービスで違う種類が出ることを誰も望んでいないんです。
価格競争で労働者が疲弊するだけ。
デフレスパイラルが終らない原因です。
資本主義はこの競争によって成長してきましたが、もうそろそろ限界です。もう国内で競争はいらない。
だけど、今までの社会の当たり前から抜け出すことができる人は、すでに豊かさを手に入れている人だけでしょう。
ひとたびこのシステムの中で動いていくと、帝国主義と同じで“売らないと生きていけない”状態になってしまいます。
社会のフェーズが変わる今この時が、とても苦しい。
だからこそ、個人のキャリアを支援するために私たちキャリアコンサルタントも生まれたんです。
新しい価値を生む人材が必要だ
このままでは、優秀な人は海外に逃げるのは当たり前ですね。
何とか日本国内で、お金が回らないだろうか?競争が少なくなり、みんなが潤い、生活に困らないように。
お金はどこにもないのか?
いいえ、あります。コロナの中でも、量的緩和の名のもとにお金が刷られている。
ただ、流れていかないだけです。
なぜか?
価値が生まれていないからです。
お金を持っている人は、日本の未来を考えどんどん使いたいと思っている。
でも、使いところがないんです。
つまり、
新しい価値を生む人材が不足している。
新しい価値が生まれれば、みんなが同じ業種で働いて競争する必要がなくなる。
価値の多様化により、お金があるところから流れてくるようにする。
これはきっと次の世代にもとても重要な考えなのではないでしょうか。
我々の常識から抜け出す子供たちを
今までの枠の中で職業を選んでいては、負のスパイラルからは抜け出せません。
僕たちが持っている、知っている常識の中からは、未来は生まれない。
それは「こんなことにお金を払ってくれるの!?」ということかもしれません。
アートかもしれないし、生き方かもしれないし、歴史かもしれない。
今のITのほとんどがそうだったように、まだ発見されていない価値がどこかにあると大人たちが信じないといけないのかもしれません。
いずれにしても、そんなものは金にならんよ!と決めつけていたら新しい価値は生まれない。
柔軟に生きて新しい発見をどんどんして、混沌としたキャリアの中から光り輝くものが現れるでしょう。
子供たちを信じ、過去の呪縛から解き放つこと。
それがキャリア教育なのではないでしょうか。